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第18話 -5
服を着せられ脱衣所からベッドまで運ばれた悟志は、市倉によって痴態を暴かれていた。
今着せられたばかりの服を殆ど脱がされ、布団の中で耳を食まれる。耳朶に熱い吐息がかかるだけでも腰が疼き、目の前の男に縋り付いていた。
「俺のことは許さないんじゃありませんでした?」
「も、ばか、きらいだ」
「本当に嫌いならやめますよ。どっちがいいですか?」
今のこの状況でやめられても困る。
これまでは、悟志がねだったから市倉は触れてくれていた。それなのに今回はベッドに下ろされるなり、市倉の方から触れてきた。
直接的な刺激は中途半端なところで止められ、試すように聞いてくる。
「坊ちゃん、本当は誰でもいいんじゃないですか? 澤谷の方が歳も近いし単純だからいいでしょう。俺は歳も食ってますしそんなに性欲もあるわけじゃないし、何よりこうして触ってやることしかできないので」
「やだ、嫌だ」
「そのやだは、どういう意味か答えてもらえますか?」
市倉が何を考えているのかわからない。悟志のことは息子だとしか思っていないと言っていたその唇は首筋に吸いつき、鎖骨を噛まれ声が漏れる。
もう身体も動かない。悟志はただ市倉を見上げるしかできない。
「事故だって、言ったろ」
「あいつのちんこ勃たせといてそれは無理があるでしょ」
「……勝手にそうなっただけだ」
「ただのぼせただけなのにあんな体勢で2人とも勃起させてるなんてことあります?」
「……信じないならいい」
「信じたいですが、あんたのこれまでの行いが行いなので」
信用されていないような物言いに、悟志は言葉を詰まらせた。
俺だってこれまでしたくてしてきたわけじゃない。それを言いたくとも、実家を出てから市倉に嘘を吐いてまで続けた時雨との関係は確かに信用をなくすには十分な出来事だ。それでも、今回のことは本当に事故なのに。
「……じゃあ、そろそろ澤谷も出てくるので俺は行きますね」
続きはあの男とでもすればいい。そんなことを含んだ言葉に、悟志は愚図るように甘えた声で引き留めた。
「お前が抱いてくれなきゃやだ……」
「……許さないんじゃありませんでした?」
「俺のこと1番に考えないのがやだ、俺だけ見てほしい」
「自分が何言ってるのかわかってます?」
どう捉えられても構わない。ただ、市倉の1番は自分じゃないと嫌だ。それは独占欲と変わらない。
身体を離していた市倉は、悟志に覆い被さり首筋にくちづけた。唇同士は触れ合わせないのは変わらずに、節張った9本の指が背中に回され柔らかい肌を撫でる。
動かない足に、興奮したのか硬くなった市倉の欲が当たる。擦り付けるように揺らしながら、市倉は無言で悟志の全身を撫でるように触れながら全ての着衣を脱がせ2人を覆っていた布団を退けた。
「あいつもいるので、最後まではしませんよ。いいですか」
「ん、ん……」
父や優に抱かれた行為を上書きしてもらえるのなら、なんだって構わない。
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