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第13話

 内壁をほぐす過程においては、 「弟に掘られるなんて沽券にかかわる。年功序列で、バックヴァージンをいただく権利を譲りなさい」    真輝が妙なやる気を出すわ、 「苦節四年、片思いにお別れだ。ついに、にいちゃんとひとつに結ばれるぅ」  昴が号泣するわ、 「やっ……、こするのイヤだ。おなかの奥がむず痒くて、変……」 「変じゃなくて感じるんだよ。ほら、また元気になってエッチな雫があふれてきた」  ムフフな突起を探り当てたことを物語る、定番のやりとりがあるわと、エピソードは盛り沢山。  とはいえ、いちいち書き綴っていては冗長になるため、あえて端折る。一万字程度でエンドマークをつけたい、という作者の思惑もある。  最初はくちづけを交わしやすい正常位で番うのが、お約束。昴はうがつ角度を慎重に調節しながら、熱っぽく囁きかけた。 「うれしくて胸が一杯だ。愛している」 「満更でもない……かも……んっ、痛っ!」  カリが入口に(つか)えてニッチもサッチもいかない。おなじみの一幕を経たあとで、収まるところに収まったのを見届けて、ばななマンはくす玉を割った。 〝祝・完全合体〟と墨痕あざやかな垂れ幕がはためき、それを背に立ち去る。今宵もカップル誕生に貢献することができて、実にめでたい。 「ありがとう、ばななマン」  桐原兄弟が声をそろえて言う。  ばななマンは肩をすくめて返すにとどめた。礼など無用。愛と正義の味方の務めを果たしたにすぎないのだ(う~ん、奥ゆかしい)。     ◇◆◇  恋わずらいに身悶えする少年よ、青年よ、はたまたナイスミドル諸氏。彼は悩める仔羊のもとに駆けつける。  そして意中の人のハートを射止められるよう、後押ししてくれる。  合い言葉は「ばななマーン、助けて」。     ──了──

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