13 / 13
第13話
内壁をほぐす過程においては、
「弟に掘られるなんて沽券にかかわる。年功序列で、バックヴァージンをいただく権利を譲りなさい」
真輝が妙なやる気を出すわ、
「苦節四年、片思いにお別れだ。ついに、にいちゃんとひとつに結ばれるぅ」
昴が号泣するわ、
「やっ……そこ、こするのイヤだ。おなかの奥がむず痒くて、変……」
「変じゃなくて感じるんだよ。ほら、また元気になってエッチな雫があふれてきた」
ムフフな突起を探り当てたことを物語る、定番のやりとりがあるわと、エピソードは盛り沢山。
とはいえ、いちいち書き綴っていては冗長になるため、あえて端折る。一万字程度でエンドマークをつけたい、という作者の思惑もある。
最初はくちづけを交わしやすい正常位で番うのが、お約束。昴はうがつ角度を慎重に調節しながら、熱っぽく囁きかけた。
「うれしくて胸が一杯だ。愛している」
「満更でもない……かも……んっ、痛っ!」
カリが入口に閊 えてニッチもサッチもいかない。おなじみの一幕を経たあとで、収まるところに収まったのを見届けて、ばななマンはくす玉を割った。
〝祝・完全合体〟と墨痕あざやかな垂れ幕がはためき、それを背に立ち去る。今宵もカップル誕生に貢献することができて、実にめでたい。
「ありがとう、ばななマン」
桐原兄弟が声をそろえて言う。
ばななマンは肩をすくめて返すにとどめた。礼など無用。愛と正義の味方の務めを果たしたにすぎないのだ(う~ん、奥ゆかしい)。
◇◆◇
恋わずらいに身悶えする少年よ、青年よ、はたまたナイスミドル諸氏。彼は悩める仔羊のもとに駆けつける。
そして意中の人のハートを射止められるよう、後押ししてくれる。
合い言葉は「ばななマーン、助けて」。
──了──
ともだちにシェアしよう!