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第20話

「城に泊まんのっ?」 「城だな」 「ホテルですらねぇじゃん!」 城なんか泊まったことない。洋館ってこと?洋館でもないのか? 頭の中を整理しきれないまま軽く首をかしげると、彼は胸ポケットからスマホを取り出した。 「この城だ。俺たちのホテル兼彼らの結婚式場」 太い親指で操作した画面には、絵に描いたような外国のお城、それこそお姫様とか王子様とか住んでそうなお城がデカデカと、そして綺麗に映し出されていた。 「うへぇ……何これ、普通に城じゃん」 「立派な城だろう。600年ほど前に造られたそうだ。今は中を改装して、リゾートホテルとしても利用されている」 「あ、じゃあ泊まれるようになってるんだ」 「ああ、結構立派なホテルらしいぜ、俺も行ったことはないんだが」 そのまま画面を操作すると、オススメの観光情報のページに飛んだ。訪れるべき場所と一度は泊まりたいホテルに、今見たばかりの城の写真が表示された。 「ここを貸し切りにして式を挙げるんだそうだ。それから、招待者をここに泊めると言っていた」 「そりゃあ豪勢なこった」 「全くだな、彼ららしい」 シェフはともかく、相手の首相のことはニュースでしか知らないから、彼ららしいというのどういうことなのか、俺にはよくわからなかった。

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