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第25話
城は5階建てで、ホテルとして改装したのが2階から4階の合計60部屋。上、俺たちが泊まるのは3階に上がってすぐの部屋だそうだ。移動手段は階段しかない。
とはいえもともとが城だから、隣の部屋との距離はだいぶ遠いし、天井も高い。だから、音も響かないらしい。
「木で造る日本と違って石造りだからな」
「まー、日本は地震とかあるからな。石造りの家なんかあんまりないし」
隣の部屋との距離が遠いということは、すなわち相当歩かないといけないということでもある。車を降りて15分も歩いただろうか、緩やかな螺旋階段を上り、ようやく3階にたどり着く。途中にあるいくつもの窓から外の景色を眺めたり、廊下の壁にかかった西洋絵画を見たりして疲れをごまかした。
「ご足労いただいた上に更にご案内に歩いていただき申し訳ありません」
おっちゃん執事は言うけど、歩行は止めない。すぐの部屋と言う割に、3階についてもまだまだ歩く。
「こちらの階には、経営者や各国の政治家の皆さんにお泊りいただいております」
危うくマジかよって言いそうになった。彼との仕事で会ったことがあるかもしれない人もいるかもしれないけど、そうじゃなかったらまた自己紹介からスタートか。
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