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** 帰り道 **
♡♡♡ 晃 side ♡♡♡
あれは、高校2年生の冬休み。
冬休みになっても、俺と遊は毎日 会っていた。
午前中は、図書館で勉強して
お昼ごはんをコンビニで買ってから、俺の家へ・・・、
っていうのが定番のコース。
『うー、寒いー。』
『うん。雪でも降りそうな天気だね。』
家に向かいながら、他愛もない話をする。
なんでもない日常・・・だけど、
俺にとっては大切な日常。
『遊、手袋もマフラーもしてないけど・・・寒くない?
大丈夫?』
『・・・・。あー、うん。平気・・・。』
『そう?』
遊ってば、いつも何もしてないから
見た目 すごく寒そうなんだよな・・・。
“ 平気 ” って言うけど
鼻も手も真っ赤だし。
俺だけ バッチリ防寒対策してて
ぬくぬくしてるのも悪いなぁ・・・と
片方の手袋を外して 遊に渡す。
『えっ?いいよ、僕は大丈夫だから』
『ん。いいから いいから。』
遠慮する遊の手を取って
半ば強引に右手にはめてから、左手を繋いだ。
『あ、晃くん・・っ!み、見られちゃうよ??』
『ん。いいから いいから♪』
離れようとする手を キュッと、握りしめる。
このコート、袖が長いからよーく見ないと
手を繋いでるかなんて分からないんだよー♪
(多分)
あ。でも・・、遊は嫌だったかな?
また自分勝手に暴走しちゃった??
なんてちょっと焦りつつ隣を見ると・・・
遊は俯いてはいたけど
頬を染めて、嬉しそうに微笑んでいた。
あ。よかった、嫌じゃなさそう。
安心した俺は
握りしめる手に少し 力を込める。
───と、遊が堪えきれない、って感じで
クスクス笑いだした。
『ふふ・・・・あったかーい。』
『うん♪』
『・・・・・ありがとう、晃くん。』
『・・・・うん。』
手を繋いで歩く。
いつもより特別な日常。
大好きな遊との大切な日常。
♡ ♡ ♡ お わ り ♡ ♡ ♡
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