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雪国の海賊①

「キャプテン!何拾って来てんすか!俺は薪を探して来てくださいっつったんすよ!」 「うるせえ、緊急なんだよ」 「キャプテン!」  誰かが会話をしている。でも、僕の身体は凍ってしまったように動かない。頭もボンヤリしていて、また意識が遠退いて……。 「おい」  ハッとした。パチパチという音がしている。一体何が起こったのだろうか、あの場所から自分で移動した記憶はないのに、僕は暖かい部屋の中に居た。薄暗くて狭い部屋だ。あるのは暖炉と何か大きな紙が乗ったテーブル、それに僕が寝ているこのベッド…… 「え……」  僕は言葉を失ってしまった。僕の下には上半身裸の獣人が居たのだ。身体の模様からいって(ひょう)だと思う。 「やっと起きたか」  暖炉の赤い炎を映し出す瞳が呆れたように言った。本当の色は何色なのだろうか。 「ぼ、僕に何かしましたか?」  どうして僕は何も身に付けていないのだろうか。番でない者に抱かれた場合、僕らオメガ性は酷い吐き気に襲われているはず。でも、別に体に違和感は無いし、体調も普通だ。 「何って、なんだ?変なことはしてないぞ?その首の噛み跡、お前、番が居るんだろう?」 「そう……っ」  何もしてないなら何故お互いに裸なのかと思ったけれど、突然頭痛がして僕は言葉を呑み込んだ。瞬間、僕の脳裏に映像が流れ出す。木製の船の横っ腹に青い炎を纏った砲弾が突っ込んでくる映像だった。もしかして……

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