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太陽の刺客①

「え、アキークってアルファなんですか?」  この船に乗って三日目の夜、シャラールさんから意外な話を聞いて僕は驚いた声を上げてしまった。てっきり海賊(コルサーン)なんてやっているから、アキークはベータなんだと思っていた。 「そうなんすよ、アルファなら地位的に上の存在なんすけどね、キャプテンは自由を愛する男っすから。ちなみに俺はベータっす」 「シャラールさんは、どうして海賊(コルサーン)に?」 「俺は元々盗人で、キャプテンの魔石を盗もうとしたんすよ。でもキャプテンに見つかっちまって海に落とされて殺されるところだったんす。んで、俺が魔石を使えると分かった途端、仲間にしてやると言われてそのままっす。なんだかんだ言っても居心地が良いんすよね、ここ。まあ、キャプテンは、謎が多い男っすよ……」  そう言って、シャラールさんは暖炉の前で寝息を立て始めた。  ────アキークがアルファ……、もう少し早く出会えていれば……、いや、僕は何を考えているのだろう。  首を左右に振って、僕は布団に包まった。この布団はアキークの匂いがする。太陽みたいな匂いと言ったらアキークに笑われた。そんな匂いと石鹸の香りが混ざった落ち着く空間。  何故、石鹸の香りがするのか、それはこの船にシャワー室があるからだ。魔石の力で海水をろ過し、お湯を出すことが出来る。魔石の力は本当に素晴らしいと思う。それをコントロールしているアキークも。  はぁ……、また僕はアキークのことを考えている。アキークがいけないのだ。お湯が勿体ないからと僕と一緒にシャワーを浴びたりして、余計に頭から離れなくなる。  胸が苦しい────。

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