55 / 209
第55話 アサの思い
「アッ!ンッ!!!」
足の先から頭まで、体中が甘く痺れるような不思議な感覚に包まれると、それまでニールの指を咥えていた僕の体を、裂けてしまうのではないかというくらい太くて硬いモノが貫いた。
奥へ奥へと入っていくソレの動きに合わせて、意味のなさない声が漏れていく。
はしたないから我慢しようと口を塞いでも自然と漏れていき、そう広くないこの部屋に自分の声と、寝床が揺れる音、大好きな人の体の一部が僕の中を行ったり来たりする粘着質な音が響き渡る。
何でこうなったんだっけ。
本当は部屋に戻ってきたら明日のことを話そうと思っていた。
時間をかけて言葉を紡げば、この人はきっと分かってくれるから。
それなのに、今の僕はふかふかの寝床に寝そべり、天井に光る照明を見つめ快感を散らそうと、つま先に力が入る。
「イッ、アァ!ニッル、アンッ!」
「アサ、もっと、お前をくれ」
「ン?キャァ!」
ニールは辛そうに眉間にシワを寄せ僕の名前と何かを呟いた。
回すように動き、気持ちいところをこすり続けるその腰を止めてくれたら、なんて言ったのか僕にもわかるかもしれない。
一番大好きな人だから僕の考えていることを説明したかった。
帰りたいけど帰りたくないんだ。
あなたの側にいたいから。
でも、家族に会いたくて、それなら帰るしかないんじゃないかって。
ニールなら一番良い答えを出してくれる気がした。
誰よりも信頼するこの人が言うことなら、僕は正しいこととして従いたいと思った。
それでも、身体はニールから与えられる快感を求めていた。
律動に合わせて背中に布団が擦れる。
ふかふかに柔らかいそれは、僕たちの熱で生ぬるくなっていた。
「アサ、手を貸せっ」
「テッ?ア、ニールッ、ナ、二?」
僕の両手がニールの肩に置かれた瞬間、ふわっと予想外の浮遊感に頭がクラっとし、視界が変わった。
「ンーーーー!!!」
「はっアサ、アサッ」
今、僕は、胡坐をかいて座るニールの上に腰を落とそうとしている。
そう気づいた瞬間、勢いよくニールが腰を突き上げた。
頭が真っ白になる。
そんな感覚に背中が後ろに反れた。
力の入らない僕の体を逞しい腕が支え、下からはガツガツと音がなるほど激しく刺激を与えられる。
肌が叩きつけられるたびに、パンパンと乾いた音が響き渡った。
痛いなんて思ったのは一瞬で、突き上げてくる快感に身を任せると、その痛みさえ快感になっていく。
細かく上下する視界に映るのは、羨ましいほど逞しい身体。
健康的に日に焼け、筋肉の引き締まるその体は汗に濡れている。
見ているだけで、お腹の底が熱くなる感覚に頭がおかしくなりそうだ。
そのお腹の中ではニールの一部が行き来し、僕の中を抉っていった。
身体を繋げて一つになることは快感だけでなく、安心感まで与えてくれる。
不安に思っていたことなんて今は考えられなくて、僕は与えられる快感に応えようと、ニールの肩を掴んでいた指に力を入れた。
「ッ!ニー、ルッ!」
ともだちにシェアしよう!