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三毛、龍に可愛がられる。

「三毛、プレゼントだ」  龍サンがお仕事から帰って来た。  手渡されたのは、ボクよりも、とってもとっても大きな――。 「クマちゃん!」  それは写真屋さんのお手伝いでギュってしてたクマちゃん。  すっごくすっごく可愛くて……。  写真屋さんの小太朗サンがパラソル持ってお写真撮るよって言われた時。  でももっとクマちゃんをギュってしたくて駄々をこねたの。  その日はそれでお写真終わって。  ご迷惑かけちゃったのはわかってるんだけど。  ボク、すごくクマちゃん好きで。  モコモコが可愛くて。  もっともっとギュってしたくて。  もちろん。  龍サンにはクマちゃんがほしいなんて言ってない。  クマちゃんは撮影のお道具だから。  お写真のお仕事でしかギュってできないって思ってた。  でもでも!! 「ずっと欲しかったの! ありがとう龍サン!!」  ぎゅううう!  ボクは思いきりクマちゃんを抱きしめる。  でも。  でもね。 「三毛? どうした?」  せっかく龍サンがいるのに。  クマちゃんは嬉しい。  ずっとずっと一緒だって思えるから。  でも。  でも今は――。 「龍サン。クマちゃん大切にする!」  今は龍サンがいい。  龍サンに手を伸ばしてギュってする。 「三毛……」 「すごく嬉しい」  ボク、何も言ってないのに龍サンはボクが欲しい物を一番に見つけてくれる。  優しい男性(ひと)。  ボクの大切な男性。  だから。  スクッ。 「三毛?」  ボクはあることを実行するために龍サンから離れると、押し入れからお布団を取り出した。  龍サンは無言でボクがすることを見ている。  お布団を2枚横に敷いて。 「クマちゃんはココね」  ポンポン。  龍さんからもらったクマちゃんを縁側に近い方にセットする。 「よしっ! 龍サンはこっちで、ボク真ん中!!」  えっとね。  今日はね。  ボクは大好きな龍サンとクマちゃんに挟まれて寝るんだッ!  にへっ。  龍サンに笑いかけたら、ポンポンって頭を撫でてくれる。  龍サン大好き!!  そしてボクはまた、龍サンの首に腕を巻きつけてギュってするんだ。  三毛、龍に可愛がられる。**END

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