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第154話 約束 Ⅱ〜side佑吾〜

「佑吾 お誕生日おめでとう!!」 時計の針が丁度0時を回った時、隣にいた創は 俺の服をギュッと握りながら、最上級の笑顔で 祝いの言葉をくれた 「…ありがとう」 あれ⁇ でも… 「…俺、誕生日の話したっけ⁇」 受験前に要らぬ気遣いを持たせるのは避けたくて 言っていなかった筈だったが、何か酒の勢いとかで 話してしまったのだろうか…⁇ 「物井先生が教えてくれたの」 成る程 納得 物井も本当にマメな奴だと改めて思った 「佑吾 明日何時頃帰って来れそう⁇」 「ん⁇ 明日は…多分19時半とかかな⁇」 「じゃあ、僕 ご飯作って待ってても良い⁇」 ぴょんぴょんと跳ねている創は なんだか仔ウサギの様で、嬉しそうに笑う姿に こっちまで笑顔になる 「ああ 楽しみにしてるね」 「うん!! それで…あの…」 「ん⁇」 もじもじと何か言いにくそうにしてる創に 首を傾げた 「明日…お買い物に行っても良い⁇」 「え…」 基本的に家の物は 俺が殆どネットで購入している が、恐らく それでは何か足りない材料があるんだろう 「…ダメ…かな⁇」 両手を口の前で揃えて 上目遣いで小首を傾げられたりなんかしたら、そのあまりの可愛さに、うっと心の中で呻き声を上げた 「…んー」 本当は却下したい でも俺の事を思っての事だろうし、いつまでも家の中に閉じ込めておく訳にもいかない… 「…家出る時と帰った時 必ず連絡するんだぞ」 「うん!! 佑吾 ありがとう!!」 ギュッと抱きつかれれば 全てを許してしまいそうになる 明るい色の髪を撫でながら、何とも複雑な思いが 俺の中に出来上がっていた

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