5 / 35
Ⅰ 零④
流動する世界は終局を迎えた。
世界は最も優れたαによって管理されるべきである。
戦争と貧困で荒廃した国は、次々とαの提言する新条約に加わった。
世界は渇望していた。
平和を。
それが仮初めだとしても、平和に限りなく近い平穏を求めていた。
それを与えられるのは、αだけだ。
β・Ωの上位種であるαだけが、ヒトの望む世界を創造できる。
世界はα・β・Ωを基軸に12分割された。12の国の頂点に君臨するのが、αのみで構成された子の国だ。
ここに、子の国を盟主とする世界連邦が樹立したのだ。
世界はαに管理を委ねる事で、平和を享受する道を選んだ。
これは差別じゃない。
平和のための区別だ。
ともだちにシェアしよう!