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第35話

明け方、喉が乾いて目が覚めた。 水、飲みたい でも、動いたら正宗さん起こしそうだな 疲れてるみたいだし寝てて欲しいけど ぐっすりと眠っているが、背中に回る手を退かしたら起きてしまうかもしれない。 暫く様子を伺ってみるが、気持ち良さそうに眠っている。 ゆっくりと心地好い腕から抜け出すとまだひんやりした早朝の空気の中、炊事場へと向かった。 伏せてある自分のマグに水を汲み、いただきます、と心の中で長岡に言ってから喉を潤す。 美味しい。 長岡の部屋は本ばかりで、派手な装飾品もなく落ち着く。 だけど、自分がこの部屋に入り浸る様になってから自分の物が随分と増えた。 箸 歯ブラシ 服 それから、今使っているマグカップ 嬉しくて少しむず痒い。 だけど、やっぱり嬉しい。 恋しくなりふとんに戻ると、さっきの様に恋人にくっ付いた。 髭の伸びた恋人。 とても格好良い恋人。 顎にちゅぅっと吸い付いてから胸に顔を埋めた。

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