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Page45:少しだけ
「ンッ、んぅ…、」
ちゅっちゅっと触れるだけのキスを繰り返し、時折はむはむと唇に吸い付かれたり、ぺろっと舐められるだけで、舌は一切入ってこない。
なんだかムズムズする感覚に、無意識にシュンくんのTシャツをきゅっと掴んだ。
「ん、んーっ、もぅ…っ、」
「逃げちゃだめ。」
「しゅ…っぅんんッ…!」
そんなキスから逃れようと、顔を背ける俺の顎を掴んで、上を向かせて再び唇を塞ぐ。
そんなに吸ったら赤くなっちゃうよ…なんて思ったが、全然離してくれる気配がないので無駄な抵抗はやめた。
「ん…っ、っはぁ…!はぁ、はぁ……。」
「…ね、ナオくん。ルイとキスした時、舌は入れられた?」
「えっ?」
結局、シュンくんの気の済むまでそれは続いて、やっと唇が離れたと思ったのも束の間、息を整えているとシュンくんが尋ねてきた。
「お願い、教えて…?」
その声は優しくて、けどどこか切なさも帯びていて、キュンと胸が痛くなる。
「…ちょっと、だけ…、入れられた…。」
今ならいくらでも誤魔化す事ができる状況だけど、嘘を付くのが心苦しくて素直に答えた。怒られるかもとドキドキするものの、正直に話した事に後悔はない。
「そっか、教えてくれてありがとう。…他は?」
「へっ?」
「ほーか。」
「え…、他はもう何もされてないよ?」
「本当に?」
「本当にっ!」
思ったよりもアッサリした回答だが、疑り深いシュンくんに少し大きな声で返事をする。
これ以上の隠し事なんて俺にはもうない。舌のことも怒ってないみたいだし、これでもう許されるかも!と期待に目を輝かせた。
「じゃあ、見せられるよね?」
「う……、ん…?」
主語がない質問に返事をしかけるも、途中で小首を傾げる。
「やましい事してないなら、全部僕に見せられるよね。」
「あ、あのー、シュンくん…?ちょっと言ってる意味がわからないんですけど…。」
というか、あまりわかりたくもないんですけど…と俺は口籠る。
「だってナオくん、隙多くてすぐ痕付けられるもん。」
「痕…?」
「忘れちゃった?…ここ。」
「ぅひゃっ!」
突然、首筋をツツ…となぞられ、ゾワゾワする感覚に肩を上げる。そこは前、ソウにキスマークを付けられ、シュンくんに噛まれた場所だった。
「本当に何もされてないか確かめないとねぇ?…そんで、僕の痕でいっぱいになればいいよ。」
「な、に言って…っひぁ…!また、そこ…!」
「好きでしょ?乳首。」
服を捲り上げて、くにくにと乳首を優しく摘む。先程しつこいくらいにいじられてた所為か、いつもより敏感になっていて、たったそれだけの刺激でも今の俺には堪らず、シュンくんの息がかかる度、ヒクッと震えた。
「そん、な…こと…、」
シュンくんの一つ一つの仕草が、声が、すごくいやらしく見える。
俺の頭が、麻痺していく。
「大丈夫。大人しくしてたらすぐ終わるよ。だから、少しだけ。」
「…少し、だけ…?」
「うん。」
「…少し…。」
少しだけ、なら…いいのかな…?だって、少しだけだし…。
「…さ、脱ごうか。」
"少しだけ"…そう言ったのに。
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