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開花・3

亮司さんの背中を最後まで見届けた僕は、チラリと涼ちゃんを横目に盗み見た。 すると、同じく亮司さんの背中を見送っていた涼ちゃんが大きく深呼吸して、真っ直ぐに僕を見つめた。強い眼差しにどきりと胸が鳴る。目が、逸らせない。 「…涼ちゃん。」 やっとの思いで絞り出したのは、そんな呼びかけ。涼ちゃんはゆっくりと口を開いた。 「…大樹様が初めて発情期を迎えたあの日、旦那様にお願いしたんです。大樹様が高校を卒業するまでに庭師として戻ってくることができたら、大樹様と結婚させてください…と。その後、田井中様にも同じことを申し上げました。」 涼ちゃんは少し唇を湿らせた。 彼の緊張の度合いが伝わってくる。照れ屋で口下手で人見知りな、僕が昔から知っている涼ちゃんだ。 「大樹様、俺は…βですがαにも決して引けを取らないβになります。だから、だから俺と…」 結婚してください。 あの日と同じ桜の樹の下、あの日と同じ桜色に染まった頬。僕と涼ちゃんは、ようやく新しい関係へと一歩を踏み出した。

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