76 / 121

12月 part 2-2

「僕、今から夕食作るんで、ちょっと待っててください。拓叶さん、コーヒーでも飲みます?」 冷蔵庫に買ってきた食材を入れ、振り向いた七星。その七星の背中を冷蔵庫に押しつけ、キスをする。 一度、唇を離し、両手で慎重に、七星の眼鏡を外す。分厚いレンズの眼鏡を、そっと台所の作業台に置くと、もう一度口づけた。 僅かにあいた唇の隙間から自分の舌を差し入れ、七星の舌を探す。味覚に敏感な七星の舌。不快にさせないように、できるだけ優しく、舌先で触れる。 「んっ」 舌先で軽く触れただけで、ビクッと震える七星の身体。舌先から側面に沿って、届く範囲で七星の舌を撫でる。 「んっ……ん…」 七星は俺のセーターを掴み、舌を差し出す。俺は、七星の舌の下に潜り込み、筋ばったところから先端までを、できるだけ優しく撫でる。そして、舌の上のざらざらした部分に舌先を這わせていく。 自分の舌の裏側にいる、七星の舌が動く。その、ぬるぬるとした感覚に、背中に甘い痺れが走り抜けた。 立っていられなくなり、冷蔵庫を背に、ずるずると座り込んだ七星。それでも、舌を絡め合うことをやめられない。 七星の両腕を支えながら、七星の舌を味わい続ける。 口の中で聞こえる、七星のくぐもった声。まるで、脳に直接響いているみたいだ。 唇を離すと、息を乱し、ほおを桜色に上気させた七星の顔。ぼんやりとしか俺の顔が見えていないのか、微妙に焦点の合わない瞳。 俺のニットをぎゅっと握り、ねだるように少しだけ舌を出す。 そして、我に返ったように、慌てて下を向き、顔を隠した。

ともだちにシェアしよう!