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第1話-3

考えるな、大輝のことなんか…! 走れ、走れ、ひたすら走れ! この想いが、胸の中で溶けきってしまうまで…!! 「あれ、悠斗じゃん。朝練の前にもう走り込みかよ…っておまえ、顔色わりぃぞ!てゆうか汗やべえよ!グラウンド何周してんだお前!ちゃんと水分補給してんのかよ!おい!聞いてんのか悠斗!おいっ!!」 チームメイトの健(たける)の声が、遠くで聞こえる。気づけば身体中に汗をかいている。背中から、嫌な感じの汗が流れ落ちるのを感じて、 (これ、もしかしてヤバイやつ?) 思った瞬間、なぜか紺色とオレンジのグラデーションの空が見え、次の瞬間、空の色が真っ黒に塗りつぶされた。 身体が地面に叩きつけられ、衝撃を感じながら、俺は、意識が遠ざかっていった。

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