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Nuisance
俺は不幸なことにΩ だ。
いつか現れるという運命のα と出会ったら、問答無用で番 にされるらしい。
俺の人生に恋愛なんて必要無い、運命に従うだけ。
そう言われて育った。
誰かを好きになる資格がない、そう言われたみたいで、悲しかった。
「雅 ~、僕、鷹斗 のとこ行ってくるね~。先に部屋帰ってて~」
「あーはいはい」
嬉しそうに手を振りながら教室を出ていったのは、俺と寮で同室の柚 。
柚もΩだ。
しかも鷹斗先輩という番持ち。
入学式で出会いその日の内に・・・らしい。
柚が卒業したら結婚するんだと。
運命の相手に出会って、大事にされて、両想いの柚と鷹斗先輩は幸せだ。
素直に、羨ましい・・・と思う。
俺だって、相手が欲しくない訳じゃない。
けど、運命のα以外とは結ばれないΩに対して、αは運命のΩ以外とも関係が持てる。
俺を好きじゃなくても、運命に従って俺と番になっといて、別の好きなヤツとも恋人でいられるってことだ。
そうなったら、俺は何?
運命の相手なんて名ばかりの、邪魔者だ。
そんな存在にはなりたくない。
だったら俺は、運命の相手になんて出会いたくない。
「ぁ、会長・・・」
廊下の向こうから歩いてくる上級生。
彼は生徒会長の遥 先輩。
容姿端麗成績優秀質実剛健の超上級αだ。
誰もが憧れる存在・・・俺だって憧れる。
けど万が一・・・いや、俺なんかが遥先輩の運命の相手な訳ないけど、もしもって事があったら。
必要無いかもしれないけど念のため、遥先輩の半径5メートル以内には絶対入らないようにしてる。
あんな完璧な人・・・まだ運命のΩは現れてないらしいけど、既に恋人がいるに決まってる。
遥先輩だけじゃなく、他のαも同じように避けてきた。
俺さえ相手に発情しなければ、運命の相手だと気付かれる事は無いはずだから。
「はぁ、危なかった・・・」
わざとらしく見えないように、自然体を装って避けるのはなかなか難しい。
気を取り直し、寮へ帰る前に職員室へ向かった。
提出期限の迫っているレポートを提出するためだ。
「せんせー、レポート出来ましたー」
「おー、ご苦労さん。あ、丁度良かったわ、これ視聴覚室に運んどいてくれ」
「えー」
「成績ちょっと甘くつけてやるから」
「嘘つけ」
まあ、特に急いでる訳でもないし、担任に恩を売っておくに越したことはないかな。
何の資料か分からないファイルを5冊も渡され、結構な重さに狼狽える。
あーあ、タイミング悪かったなーとか考えながら視聴覚室を目指した。
「しつれーしまーす」
両手が塞がってノックも出来ず、仕方なく足で視聴覚室の引戸を開けた。
誰もいないと思って適当に挨拶し、ズカズカと入った俺の目の前に現れたのは──。
「・・・かっ・・・かい、ちょ・・・」
突然の俺の登場に、驚いた表情の生徒会長。
どくん、と心臓が跳ねる。
焦って、持っていた資料を床に落としてしまった。
ドサドサっという音で我に返り、慌てて拾い上げようとしたが、身体が上手く動かせない。
何だ、これ。
心臓が痛い。
息が出来ない。
熱い、痛い、苦しい、熱い・・・!
「ごっ、ごめん、なさい・・・っ」
ギシギシと軋む身体に鞭打って、足元の資料を拾おうと屈んだ、その時だった。
「──ぃあ゙っ!?」
うなじに焼けるような痛みが走る。
何が起こったのか全く分からなかった。
身体の力が抜けて、がくっと床に膝を付く。
「いっ・・・たぃ・・・ぅぁっ」
背筋がぞくぞくして、鳥肌がたつ。
──噛まれてる。
この視聴覚室には俺と、遥先輩しかいなかったから、噛んでるのは・・・。
「ゃ、やめて・・・せんぱぃ、やめてくださ・・・ひぁっ」
「やっと捕まえた」
噛むのを止め、噛んだところをひと舐めして、遥先輩が何か言った。
俺はじくじくと痛むうなじを抑え、どおしようどおしようって脳内パニック状態。
「ずっと俺の事避けてただろ。俺の番だって知ってて避けてたのか?」
「・・・ち、ちが・・・ぃ、ます・・・」
遥先輩が俺の番?
そんな訳ない、違う、俺なんかじゃない。
全校生徒憧れの存在が、俺の番なんて有り得ない。
早くここを離れなきゃ。
落とした資料なんて忘れ、床に両手を突いて勢いで立ち上がり、視聴覚室から走って逃げようとした。
逃げようとしたんだ・・・。
「ぅあ・・・ゃ、放して、くださいっ」
やっとの思いで立ち上がった俺を後ろからがっちり抱き締めてくる遥先輩。
腕力も桁違い・・・ちょっと苦しい。
「・・・ゃだ、なに、なにす・・・」
「雅は俺が嫌い?」
耳許で囁かれて鳥肌がたつ。
え・・・?
遥先輩が、嫌い?
そんな事、ない、けど・・・何で俺の名前知ってんの?
「なまえ・・・なんで・・・」
「入学式で見つけた時、俺の番だってわかったから調べた。鷹斗の番と同室なんだろ?」
そ、そうですけど・・・。
「え、でも、喋った事もないのに・・・何かの間違いじゃ・・・」
「へえ、雅は間違いでも勃つんだ?」
「ぅやっ!?」
う、嘘だろ・・・。
遥先輩が、制服のズボンの上から、半勃ちになった俺のを軽く揉んできた。
ちょ、ちょっとまって、何で勃ってんの!?
ほんとにへん、なんかへんだから・・・っ。
「ひぁっ・・・ゃ、め・・・っ、・・・ふぇっ」
一気に身体の熱が上がって、視界が霞む。
認めたくないけど、泣き出してしまったらしい。
「え、雅、泣いて・・・」
「なっ、ないて、ない゙っ!」
自分でも、何でそんな見え透いた嘘ついたのかわからない。
触られたくらいで泣くとか恥ずかし過ぎるし、泣き顔見られんの悔し過ぎるし・・・。
顔隠そうとして俯いたら、遥先輩に顎を掴まれて上を向かせられた。
くそ、やめろよ、αだったらΩに何してもいいと思ってんのか?
俺はあんたのオモチャじゃないんだからなっ!
「雅」
「なっ・・・んぅ──っ!?」
───え?
遥先輩、俺に、キス、してる?
俺、遥先輩に、キス、されてる?
え、なに、なんで、まって、まだ心の準備も何も出来てないのに、ってちょっとこの態勢苦しいんですけどっ!?
「んっ、ぅ・・・ふぁっ、はぁ、は・・・っ」
「泣かせるつもりじゃなかった。雅が俺の事避けるから、ムキになって・・・悪かった」
「・・・んっ、・・・せん、ぱ・・・っ」
今度は正面から抱き締めてきて、キスの雨を降らせてくる遥先輩。
気持ちが落ち着いてきて、涙もとまった。
でも、身体の熱は引かないし、心臓もばくばくしたまま。
そっか、俺、遥先輩に発情してるんだ。
じゃあ、ほんとに、遥先輩が俺の番なの?
「遥先ぱ・・・」
「遥でいい」
「遥・・・俺、知らなかったから、遥が俺の番だって・・・避けたの、わざとじゃ、ない、です・・・」
いや、実際わざと避けてたんだけど。
「そうか。でももうわかったよな?俺が雅の番、雅の夫だって」
「・・・・・」
こ、ここは頷くべきなのか・・・。
ああ、何でよりによって遥先輩、もとい遥が相手なんだっ。
絶対浮気される・・・いや、そもそも俺が本命ってのが有り得ない。
絶対嫌だって思ってた結末しか見えない。
俺が、邪魔者になる結末しか・・・。
「な、なんで、俺なんですか・・・遥なら、もっと他にも相手、いるんじゃ・・・」
「そおゆう事言うと視聴覚 室で犯して孕ませるぞ?」
嫌だ・・・っ!
孕ますとか恐い事言われてんのに、俺の身体は期待するみたいに熱を増した。
もーやだ、こんな身体・・・。
「こ、ここは、嫌です・・・」
「じゃあ大人しく俺の部屋に来るよな?」
「・・・・・はぃ」
もお、諦めるしかないのか・・・。
「あの、でも、その・・・ぇ、えっちは、まだ・・・したく、ない、です・・・」
俺まだ高校入学したばっかだし、それに・・・。
「俺、遥と・・・ひゃあっ!?」
俺が話そうとしてんのに、遥が信じられない行動を・・・。
両手で、俺の・・・お尻掴んだっ!
しかも揉んでるぅっ!
「ひぃっ、ゃめ・・・やだぁ・・・っ」
おかしい、身体が、おかしい。
お尻揉まれるとかあり得ない事されてんのに、なんで・・・なんで・・・。
「嫌じゃないだろ、感じてる癖に」
「んっ・・・ぁんっ・・・ふゃ・・・っ」
足ががくがくする。
立ってられない。
遥の制服にしがみついて、その胸に顔を埋める。
やばい、ほんとにやばい。
頭くらくらして、思考が鈍くなってく。
「雅、気持ちいいな?」
「んぁ・・・ん、きも・・・ち・・・ぃ」
うあーーー!
ナニ言わせてんのっ?
え、遥ってもっと優等生キャラだと思ってたのに、すげー俺様なんだけど!?
「や、やだぁ・・・も、やめて、くださいぃ・・・っ」
「我慢できない?なら、ここでヤるのと、俺の部屋でヤるの、どっちがいい?」
「ぅ・・・ふぇ・・・」
どっちにしろヤる気なんじゃん。
でもこのままだと、身体ん中ぐるぐるしてる熱でどうにかなりそう。
悔しいけど、もお我慢できそうもない。
は、腹をくくるしか、ないのか・・・。
「・・・はるかの・・・へや、いく・・・」
「わかった」
ああ、でも、寮にある遥の部屋まで歩けない。
そう思って遥を見上げると、ひょいって、本当に簡単に、俺をお姫様抱っこした。
そのまま長い脚でずんずん歩いてく。
・・・ちょっと待て、これは恥ずかし過ぎるっ!
頼むから、部屋に着くまで誰にも会わないで・・・。
「生徒会長が誰か抱いてるぞ!」
「まじかよ!?遂に運命の相手と!?」
めっちゃ見られてるしっ!!
もー最悪だぁ・・・。
せめて顔だけは見られないようにしないと・・・。
「あれ、雅?やっと遥先輩のモノになったの~?よかったねぇ~」
「なんだ遥、やっと捕まえたのか。じゃあ俺は柚の部屋に行くわ」
柚と鷹斗先輩カップルにも見られた・・・。
柚、今は俺の名前を呼ぶんじゃねぇ。
ふたりして、やっとって何の事だよ。
「鷹斗、寮長に頼んで部屋入れ換えとけ」
「了解でーす生徒会長様」
え、部屋入れ換えるって・・・まさか・・・。
「これで毎日一緒にいられるね~鷹斗~♪」
「か、勝手に決めんなっ!」
「え、なに、雅くん納得してないの?」
「イかせてもらえなくて拗ねてんだよ」
はあ!?
ほんとにこの人ナニ言ってんのっ!?
そんなんじゃねーしっ!
「邪魔して悪かった。ごゆっくりー」
「頑張ってね雅~」
柚、明日シメる。
「ほら、着いたぞ」
遥の脚が長過ぎて、あっという間に部屋に着いた。
ベッドに降ろされると急に恐くなって、涙が勝手に流れる。
「・・・ふ・・・ぅえっ・・・ふぇぇ・・・っ」
「雅、泣くな。孕ませるって言ったのが恐かったか?雅が嫌ならちゃんと避妊するし、妊娠したら命かけて雅と子どもを守るよ」
俺の頬を流れる涙を拭いながら、真剣な顔で言う遥。
俺なんかのために、命、かけてくれんの?
本当に?
「・・・俺、遥と・・・一緒に、高校生・・・したぃ・・・だから、まだ、妊娠とか・・・」
「わかった」
ちゅ、と目許にキス。
そこからまた、熱が拡がる。
「・・・ぁの・・・やっぱり・・・ぇっち・・・しても・・・いぃ・・・かも・・・」
やっと言い終えた瞬間、肩を押されてベッドに倒れる。
・・・遥の匂い。
やばい、くらくらする・・・。
「雅」
「ん、ん・・・っ、ふぁ・・・」
俺の制服を脱がせながら、首から鎖骨、胸へとキスを落としていく遥。
だめ、そんな、ゆっくりじゃ・・・。
「ゃ、あ・・・はるかぁっ・・・も、はやくぅ・・・っ」
「なんだ、急に素直だな」
制服のネクタイを外しながら、ニヤリと笑う遥。
何それ、格好いい・・・。
「・・・ひっ・・・ぅあ、やぁあっ!」
いつの間にか全裸にされてた俺の膝裏を遥が掴んで、無理やり開かせる。
そして、露 になった秘部に舌を這わせた。
え、何で、いきなりソコなの!?
抵抗したいのに、身体が勝手に反応して、奥が疼く。
「んぁっ、ぁ・・・ひぅっ」
こんな事されて、イきそうになってる身体が恨めしい。
でも仕方ない、俺は遥の番だから。
遥に抱かれるように出来てるんだ、きっと。
「なぁ雅、ここ欲しそうにしてる。このまま挿れていい?」
「ぁぅ・・・だ、め・・・っ」
こ、このままって、遥、ゴムしてない・・・?
え、だって、避妊するって、俺が嫌なら避妊してくれるって言ったのに・・・っ。
「ぁあんっ、やぁっ!」
ぐち・・・と、後孔に熱が押し当てられる。
それだけで、其処はひくひくと熱を飲み込もうとしてしまう。
頭ではだめだってわかってるのに、身体は欲しい欲しいと求めてしまう・・・。
「雅、みやび・・・俺を呼べ」
耳に直接、声を流し込まれる。
もお、だめだ。
これ以上、耐えられない・・・っ!
「・・・はる、か・・・はるかぁっ・・・ひぁああ゙っ!」
俺を強く抱き締めながら、遥がその熱で、俺を奥まで一気に貫いた。
深いトコロを抉られて、俺は呆気なくイってしまい、痙攣する内壁で遥を嫌でも感じてしまう。
「ちゃんとイけたな」
「・・・ん、んっ・・・ゃん・・・」
挿れられただけなのに、こんなに充たされた気持ちになるなんて。
番だから、なのか。
イった余韻に浸る間もなく、遥の熱が存在を主張するように動き出す。
胎内 を擦り上げられる度、背筋がビリビリと痺れて、犯されるのを喜ぶように身体が戦慄く。
もお、自分が自分じゃないみたいだ。
「あっん、ゃあっ、んぁっあっあっ!」
挿抜に合わせて上がる嬌声を止められない。
やばい、このままじゃ、俺もまたイくけど、遥もイくんじゃ・・・。
「んっ、だめっ、だめぇっ・・・も、抜い、てぇっ」
「嫌だ。このまま、一緒にイこうな?」
うそ、本気で言ってんの?
ナカに出すの?
だって、そんな事したら、ナカに出したりしたら・・・っ。
「やあっ、あかちゃ・・・んっ・・・できちゃうぅっ」
「っ、孕めよ雅、たっぷり、ナカに、注いでやるからっ」
「やぁっ、だめぇっ・・・やぁああんっ!」
最奥で、遥の熱が弾けるのを感じ、俺もいっしょにイった。
腹の奥、熱い。
俺、孕んじゃう・・・妊娠、しちゃう・・・。
どおしよう、まだ高1なのに・・・学校、やめなきゃいけないのかな・・・。
遥だって、これから大学受験とかあるのに、妊娠なんてしたら俺、邪魔になっちゃうんじゃ・・・。
それで、俺が学校からいなくなってる間に、遥は別の恋人と・・・っ。
「ああ、また泣かせたか・・・悪かった、大丈夫だから、ほら泣くな」
「ぅっ、・・・おれの、こと・・・っ、じゃまものっ、にっ・・・すんのぉ・・・っ」
「ん?邪魔者?」
泣きじゃくる俺を膝の上で横抱きにして、遥が首を傾げた。
何言われてるかわかんないフリかよ。
俺はちゃんとわかってるんだからなっ!
「・・・ふぇ・・・っ、にんしん、したら・・・がっこ、おいだす、んだぁ・・・っ」
「追い出す?雅を?何でだよ。やっと捕まえたのに、何処にも行かせねぇからな」
「んぁっ」
ぎゅうっと遥に抱き締められ、あれ、なんか話噛み合ってないなーと思い始めた。
何処にも行かせない?
え、俺、学校辞めなくてもいいの?
「俺と高校生したいんだろ?」
「・・・うん」
「じゃあこれ、飲むよな?」
そう言って、ポケットからピルケースを取り出す遥。
な、なに、何の薬・・・?
「Ω専用アフターピル」
「な、何でそんなの持ってんの?そんなの持ってるくらいならゴムしてよっ!」
「そんな余裕なかった」
「なんでだよっ!それに、孕ますって言ったぁっ!」
「言うのは自由だろ。ほら、早く飲まないと本当に孕むぞ」
「く・・・っ」
遥からピルケースを奪い取り、中の錠剤を口に放り込む。
サイドテーブルにあったペットボトルのフタを開け、俺に渡してくる遥。
・・・用意がいいな。
まさか、最初からこのつもりだったのか?
余裕なかったとかじゃなくて、ゴムする気なんてなかったんじゃ・・・。
「遥」
「なんだ雅」
「ゴムはどこにあんの?」
「・・・・・何でそんな拘んだよ。わかった、次はちゃんとする。俺が卒業するまでは妊娠させないって約束する」
おい、ちょっと待てよ、それじゃ俺が卒業するまでの残り2年間は?
「俺の卒業までじゃなくて?」
「俺と高校生がしたいんだろ?俺が卒業したらもう高校生やる必要ないよな?」
「はい?」
違う、そうじゃない。
「俺の卒業まで待ってください」
「・・・俺が卒業したら寮を出て一緒に暮らすなら」
「・・・・・わかった」
学校通えるなら、別に一緒に暮らすくらい。
寮の部屋も、きっと鷹斗先輩と入れ換えられて、遥と同室になるんだろおし。
「明日、荷物まとめて鷹斗のと入れ換えるから」
あ、早速ですか。
「雅、左手」
「はぃ?」
差し出された遥の左手に、何も考えず自分の左手を重ねる。
すると、どこから取り出したのか、遥が俺の左薬指にプラチナの指輪をはめた。
サイズぴったり。
「結婚、するよな?」
「けっこん?」
これは、もしかしなくても、プロポーズ・・・?
なんとなく強要されてる感はあるけど、プロポーズ、だよな?
「・・・邪魔者にしないって・・・ぅ、浮気しないって、約束する・・・なら・・・」
「雅以外じゃ勃たないから浮気は無理」
「・・・ふ、ふぅん。じゃあ、する・・・けっこん・・・」
誓いのキス。
今までで一番、甘いキスだった。
遥にぎゅってされて、左薬指の指輪見てにまにましてたら、耳許で囁きが・・・。
「雅にも、浮気なんてさせねぇから。そんな気起こらないように、毎晩抱くからな」
「・・・ゃ、やっぱ結婚やめ──んんぅっ」
今度は乱暴なくらい、深くキスされる。
やがて俺は抵抗することを諦め、求めていた運命の相手に身を任せた。
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