30 / 30

育てていこう! Growへ続く物語……【予告編】

 夜明け――  太陽の光が、大地を黄金色に輝かせるひと時が好きだ。  岩壁にもたれてその光景を眺めていると、トカプチが目を擦りながら 起きてきた。 「ん……ロウ、どうした? 早いな」 「あぁ綺麗だなと思って」 「眩しいよ」 「ほら見てみろ。牧草があんなに育って、風に棚引いているぞ」 「本当だ! よかったな」 「あぁ」  頬を上気して喜ぶトカプチの顔は、若さで満ちていた。  可愛いオレのトカプチは、オレの永遠の伴侶だ。    お前の16歳の誕生日に出逢い、凍る土地に無理やり攫ってきてしまったのに、オレを心から愛してくれた愛おしい存在だ。 「ロウ、牧草が青々しているよ。なぁそろそろ牛を飼えるかな」 「そうだな。今は1頭しかいないが、増やしてみるか」 「やった! なぁ沢山の乳が取れるようになったら、チーズを作らないか」 「あぁいいな。お前は作れるのか」 「いや、でも俺の村では作っていたよ。知らないのなら、習えばいい」  今まで知らないことが何なのかを……オレは知らなかった。  そうか……知らないなら……一から習えばいいのか。  トカプチの言葉はいつもオレに力を与えてくれる。  ずっとひとりで生きてきたせいで、何が正しくて何が悪いのかが分からなかったオレを導いてくれる。 「トイは?」 「まだ眠っているよ。トイは最近夜更かしになって、その分朝起きてこないから困るよ」 「じゃあ先に食事をさせてくれないか」 「あぁ、そうだな」  この国には、まだ誰もいない。他の人間や狼はいない。いるのは半獣のオレと人間のトカプチとやはり半獣の息子のトイだけだった。 「こっちだ」  トカプチを岩場の外に吊るしたハンモックの中にドサッと押し込める。 「わっここで!?なんだか照れるよ」 「なぜだ?」 「だってここは前に両親がシタとこ……っ」 「あからさまに言うな。一年前のことか」 「ここで母さんは俺の妹のノンノ(アイヌ語で花を意味する)を授かったから」 「照れ臭いのか」 「それは……まぁね」  話しながらも、トカプチの寝間着の紐を解き、胸元を遠慮なく露わにしていく。 「わ、手早いな。本当に……人の手は厄介だ」 「そうか。オレは気に入っているが。こんなことも出来るし」  17歳になってもまだ少年体型のままのトカプチの白い胸。そこに実る熟れた果実に舌を這わせ、口に含むとじゅわっと乳白色の液体が飛び散った。 「朝は特によく出るな。相変わらず美味いぞ」 「もうっ、だからいちいち言うなよ、恥ずかしいから」  朝一番の乳は濃くて量も多い。  オレは尖りを唇で扱きながら熱心に吸い上げていく。 「あっ……あぁ。もう……飲み……過ぎだ。トイの分も残せよ」 「ふっ、トイはそろそろ乳離れしないとな」 「あ……うっ……う」 ****  ロウに胸を吸われると、躰中の血が浮き立つような感覚になる。  ジタバタと藻掻きたくなるような、じっとしていられない気持ち。  ドクドクドクと胸に血が集まり、それは真っ白な乳となって迸る。    ジュジュッと水音を立てて、乳を勢いよく吸われる。 「あ……んっ、おいしいか」 「あぁ……朝の乳は最高だ」 「もうっ」  ハンモックに仰向けに寝かされ、ロウに飛びつかれ乳を吸われるという、あられもない姿……  こんなの故郷の誰にも見せられないよなと思いつつも、ロウが情動のままに揺れるたびに、ハンモック自体もゆらゆらして、心地いい。  ロウの肩越しには、太陽が燦燦《さんさん》と輝いていた。  この地はもう凍っていない。    俺の胸の尖りも躰も熱くなり、全身でロウを欲している。  そしてロウの躰も下腹部のモノも、とても熱くなっていた。  俺達の間に熱情という渦が巻き起こる!  俺達の大地……トカプチに。 **** 【お知らせ】 昨日、無事に続々編の連載をスタート出来ました。 この続きは トカプチ続編2『Grow』で書いていきますね! https://fujossy.jp/books/17476 お待ちしております!

ともだちにシェアしよう!