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恋する顔面凶器 ♂鬼島勇武の恋愛事件簿 04 | 夏目とろの小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
恋する顔面凶器 ♂鬼島勇武...
04
作者:
夏目とろ
ビューワー設定
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04
藤崎
(
ふじさき
)
岳
(
がく
)
、25歳。 藤崎は芸名と年齢以外全てが非公開となっている、今をときめく若手の人気俳優だ。藤崎は大学時代にモデルデビューしてるってもっぱらの噂なんだけど、不思議とその間の記録はない。 モデルあがりとはされてるが、あれだけの
美形
(
イケメン
)
なんだから大学や雑誌で有名になっても不思議じゃないのに、どこを探してもそれを確かめることが出来ないらしい。モデル時代の名前が芸名だったのかどうかも分からないだなんて、なんとも不思議な話なんだけどね。 大学で話題にならなかったのも不思議な話で、でもまあ、俺は大学は行ってないから真相は分からない。当然、あれだけの美形が通ってるんだから大学でも噂になりそうなのに、それも噂の域を越えないんだから、もしかしたら俺みたいに大学へは行ってないのかも知れない。 実は実家がお金持ちらしいって言うのも噂の域を越えないんだけど、その出どころはその若さで高級マンションの最上階に住んでいるからで。いくら主演のドラマや映画は勿論、出演本数だけでもかなりの数だとは言え、高級マンションの最上階は無理だろうって話だ。 「それにしてもいいやつだよなー、藤崎って」 最初は俺の苗字と同じだったから興味が沸いて。猫が好きで保護猫を飼っているって知ってからは、藤崎にたいして親近感も沸いていたのだ。 俺も、こっちに出て来てからも出来れば猫を飼いたかった。飼うなら保護猫ってことまで決めてたんだけど、ペット可のアパートは売れない役者の俺には無理な話で。 裏アカで飼うなら保護猫がいいって呟いたのを覚えてくれていて、実は保護猫を飼ってるって教えてくれたんだよな。いつか見せてあげたいよと言われてるけど、正体を隠してる身では会いに行くわけにはいかない。 保護猫を飼っているってだけで俺の中では無条件でいいやつで、しかも滅茶苦茶話しやすいんだよな。前にちょっとだけ共演した時、人見知りで不器用な俺にも気軽に話し掛けてくれたっけ。 三日前に、藤崎がヒーローを務めた戦隊ものシリーズのテレビ番組にレギュラー出演が決まった。この番組でヒーローを務めた俳優は全員がブレイクして人気俳優になってるが、正直、自分には関係のない話だ。 「何しろ悪役だしな……」 今回のヒーロー役はジェリーズ事務所で売り出し中のアイドルの子で、きっと彼はブレイクするんだろう。実はレギュラー出演が決まったテレビ番組は初めてなんだけど、それもあって複雑な気分だ。 マネージャーの小林さんにはチャンスですよって言われてるけど、ヒーローの敵役がブレイクしたなんて話は聞かないしな。 「あ、藤崎からLINE来た……!」 実は、その時に連絡先とLINEを交換したんだけど。当然、猫が好きなことやスイーツ男子だってことも知られるわけにはいかなくて、メッセージを貰えても、迂闊に返事が出来ないでいる。 「…… !!」 裏アカの呟きに添付されていた画像と同じ画像が添付されていて、思わず右手で口を
塞
(
ふさ
)
いだ。今回、投稿されていたタケユカの画像の中で一番好きな画像が添付されていて思わず悶えてしまった。 「はあ……、タケユカかわゆす」 このタケユカと言うのは藤崎が飼っている保護猫達の呼称のことで、その呼称と
二匹
(
ふたり
)
の名前に深い意味が隠されているとは知らず、俺は悪役俳優の鬼島勇武に成りきって『可愛いな』と一言だけで返信したのだった。
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夏目とろ
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