4 / 11

改元!令和SP★言祝月夜(ことほぎづきよ)②

「ねぇ、居るんだろう?」 息を切らした声だけが響く。 おかしいな。 私は判断を過ったか。 いいや、そんな事はないはずだ。 ハァハァハァハァ 暗がりに押し寄せる切れ切れの呼吸音。 心臓の音さえ聞こえてきそうな静寂が、私を包んでいる。 (まぁ、いいさ) 足音が聞こえない。 どうにか上手く巻けたようだ。 レンジャー隊の面々を (仲間に追われる事になるとはね) 時間は稼げた。 後は、この時間がいつまで持つか…… 『彼』を見つけない事には、私に待つのは敗北だ。 しかし。 (不思議だね) 全く負ける気がしないよ。 暗がりに腰を下ろして、闇色のマントに隠れた盛り上がりを確認する。 (おやおや) あの子も私を追いかけているのかい。 ちんリウムがムクリ! 元気に起き上がっている。 (近くまで来てるんだね) 愛しいピンク💗 君に反応して、ちんリウムが起き上がっているよ。 だけど、ごめんね。君に会う事はできない。 だって、君も私を狙ってるんだろ。 変態レンジャー諸君 どこまでも私を追いかけるかい? だが、君達に捕まる訳にはいかないよ。 私は変態レンジャー総司令官 通称・司令塔だ。 私の思考は常に君達の上をいく。 負けないさ。 否。 (勝つのは私だよ) これは理論も戦略も根拠もない自信だ。 しかし負ける気がしない。 経験だよ。 亀の甲より年の功というやつさ。 まぁ、年の功だと胸を張れるほど歳を食っちゃいないけどね。 「なにしろ、私はピッチピチの二十歳だから」 ……『相変わらず、あなたは嘘つきですね』 ほら。 やっぱり、ここに居た。

ともだちにシェアしよう!