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番外編 まさかのサプライズ

「誰だお前?」 機嫌が悪い裕貴さんに次に目を付けられたのは和泉さんだった。 「鳥飼の知り合いか?」 「ち、違います」 緊張のあまり声が震えていた。 「なら何で未知の側にいるんだ?」 裕貴さんが声を荒げた。 「そ、それは………」 和泉さんの額から大量の汗が吹き出した。 二人の間に入り、身ぶり手振りどうにかして彼のことを伝えようとした。 「彼が吉柳会の和泉さんですよ」 橘さんがようやく姿を見せてくれた。 良かった、助かった。 「怪我をされているんですよ。見れば分かるでしょう。あなたも遥琉と同じで未知さんのことになると人が変わるから………」 「悪かったな」 痛いところをつかれ不貞腐れる裕貴さん。心も未知も、目にいれても痛くないくらい可愛くて仕方ないんだ、しょうがないだろ。そんなことを一人でぶつぶつと呟いていた。 「遥琉から色々と聞いている。俺は、卯月裕貴。宜しくな」 笑みを浮かべ右手を差し出した。 「は、はい!和泉七海、39歳。まだまだ見習いですが、宜しくお願いします」 「別に年はいいのに」 年下とはいえ相手は本部の金庫番である秦さんの長男。ガチガチに緊張しながら握手に応じた。 「だからさぁ、そんなに緊張しなくてもいいから」 思わず苦笑いを浮かべる裕貴さん。 「龍一家の組長であるあなたにお会いすることができて、これほど光栄なことはありません………ん!?」 和泉さんが何かに気がついた様だった。そっと手を広げると、驚いて目を見開いた。

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