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番外編 それぞれの愛のかたち
新しい家族が一人増えて、家の中がますます賑やかになった。
「那和 、何度も言ってるけどその格好でうろうろしないで」
「へ?」
「へ?じゃないよ」
朝と早起きが苦手な那和さん。いつも起きるのはお昼過ぎ。
シャワーを浴びてバスローブを羽織っただけの格好でパンをかじりながらうろうろと家の中を歩いている。これにはさすがの紗智さんもお手上げ状態だった。
はじめこそ口をあんぐりと開けて二人のやり取りを唖然として見ていた一太と遥香。
今ではすっかり日常の光景になり驚かなくなった。
「那和さん着替えをしてください」
「えぇ~~やだ」
彼も橘さんもほとほと手を焼いていた。でも……
「なおさんかぜひくよ」
なぜか一太の言うことだけは素直に聞いてくれた。
いつものように膝を枕代わりにしてごろんと横になった遥香と紗智さんに絵本を読んであげていると、そぉーーと足音を忍ばせ、着替えを済ませた那和さんが部屋に入ってきた。
「ボクもいい?だめ?」
遠慮がちに声を掛けられた。
「駄目な訳ないよ」
笑顔で手招きした。膝の上は空いていないからどうしよう………あっそうだ!
「背中でも………いいかな?」
「ボク、未知に酷いこと沢山したんだよ。それなのに、何でそんなに優しくしてくれるの?」
「理由なんかないよ。だって僕、紗智さんや那和さんのマーだもの」
「未知……」
那和さんが驚いたように一瞬目を見開いて。
それから嬉しそうに笑ってずずっと鼻を啜った。
「そこは俺の場所だ。那和~~!」当然ながら面白くないのは彼で………
お陰で毎日賑やかだ。
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