ーごめんね未知。ここちゃんにまで怖い思いをさせちゃったわねー ｢柚原さんと青空さんが守ってくれたから。彼や弓削さんもすぐ駆け付けてくれたから怖くなかった」 ー未知強がらなくていいのよ。怖いなら怖いって言いなさい。アタシの前では強がる必要はないのよ。それに無理しちゃだめ。嘘もついちゃダメよ。分かった？アタシはいつでも、何があってもあなたの味方よー ｢千里さん……有り難う……」 いつもと変わらないテンション高めの明るい声に、スマホを握り締めたまま気付けば泣いていた。 ー誉が先々代の甥じゃなかったらとうの昔に破門していたわ。先々代の功績に免じて大目に見ていたけど、今回の件で、ねぎちゃんも秦さんも上総ちゃんもみんな大激怒よ。挙げ句には誉を支持する古参の幹部連中と取っ組み合いの大喧嘩よ。怪我人が出る前に播本さんが場を納めてくれたからいいようなものだけどー ｢千里さん、あの、サキさんって誰ですか？」 聞くか聞かないかで迷ったけど、うやむやにしたくなかったから、鼻を啜りながらおそるおそる聞いてみた。 ーどうしてその名前を？ー ｢誉さんがすごく可愛い子だって言っていたから」 ー誉の元カノよ。モデルなみにスタイルがよくて、いつみみたいな性格の子よー