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番外編真山さんと聡太くん

「オヤジ、鈴木の孫が組事務所の前で真山を出せと大騒ぎしている。どうする?」 蜂谷さんが彼に声を掛けた。 「なんだもう事情聴取は終わったのか。ほっとけ。雛鳥が親鳥から離れて目立つ行動をしているとどうなるか、身を持って体験すればいい。ハチ、ちょうどいいところに来た。使って悪いが上澤先生のところに行ってもらえないか?」 「あぁ、構わないが誰か具合が悪いのか?」 「聡太のことでなちょっとな。余計なお世話だということは百も承知なんだが、奈梛と同じところに火傷のあとがあるのがどうしても解せなくてな。痕が残ったら可哀想だろ?」 「その余計なお世話で、いままで多くの小さな命が助かってきたんだ。すぐに行ってくる。写真をスマホに送信しておいてくれ。青空、行くぞ」 「ハチ、悪いが一人で行ってくれ。両手に天使で身動きが取れない」 優しい力持ちののっぽさんこと、青空さんは子どもたちに大人気だ。 「じゃあ俺が行く」 「七海、悪いな」 「このくらいどうってことないよ。蜂谷とデートか……なんか新鮮だな」 ふふっと悪戯っぽい笑みを浮かべる七海さんに蜂谷さんのほうがドキドキしていた。

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