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⑩16歳。はじまりは突然で…。
――っていうか父さん。
一家の主がそんなんじゃダメじゃん。
しっかりしてくれよな。
俺が大きなため息をついている間にも、花音は鼻息荒くして激昂している。
「あたし、好きな人がいるの!! そんなの無理!! ぜったい、いや!!」
花音は拒絶する。
それはそれは、とても大きな声で――。
「…………」
……へぇ、花音は好きなヤツいたんだ。
……って、のんきなことは言っていられない。
妹の一大事だ。
こうなったら兄の俺がひと肌脱がなきゃな。
「母さん、祖父さんの遺言って放棄とかできないのか?」
父さんと母さんに尋ねてみる。
だけど母さんは眉根に皺を寄せ、大きく首を振った。
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