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第9話 眩しすぎて思わず想像してしまった。

 正直言うと目が覚めたら三日くらい時間が過ぎてないかなぁと思った。結局、鶴橋と出かける予定が決定してしまった。しかも三人、と言う微妙な状況で。いや、二人っきりは困るし、三人のほうがまだマシなのだが。  大人しそうな見た目に反してかなりあの人は押しが強いし、あの調子でぐいぐい来られたら頷いちゃいけない返答にも頷いてしまいそう。  けれど一人で悶々としていたら部屋の中にチャイムが鳴り響く。 「おはよう」 「おはようございます」  玄関扉を開けたら目に眩しい二人が立っている。洒落たコートとシンプルな服を着こなす煌びやかなイケメン。そして簡素なシャツにコートと言うだけでも紳士的に見えるイケメン。  朝から胸焼けしそうでお腹いっぱいです。 「笠原さん、行きたいところはありますか?」 「いえ、ないです」  早く行って早く帰れるところならどこでもいいです。そう言いたいところをぐっとこらえて返事をした。けれど目の前にある顔はにっこりと優しく微笑んでくる。 「じゃあ、少し行った先に最近できたプラネタリウムがあるんです。そこへ行ってからご飯を食べましょう」 「え?」  鶴橋の決めた行き先に思わず俺は驚きをあらわにしてしまう。この人、どこまで俺のこと知ってるの? ただ近所で見ているだけじゃ、俺の趣味までわからないよな? もしかしてもっとほかに接点があるとか? 「行きましょうか」 「あ、あの鶴橋、さん」 「なんですか?」  うっ、なんで声かけただけなのにそんなに嬉しそうな顔をするんだよ。じっとまっすぐにこちらを見つめる目に、言葉が詰まってしまう。そんな俺の様子に鶴橋は小さく首を傾げてくる。  さりげない仕草まで様になって、ちょっと憎らしい。光喜のような派手さはない。ないけれど、穏やかな顔立ちと高い背丈が相まってイケメン度合いがやばいくらいだ。  でもいまはきちりとしてるのに、普段はずぼらっぽいんだからギャップがすごいよな。  ギャップか、こういう人を押し倒したらどういう反応するんだろう。――って! 待った! なんでそんなこと考えちゃってるの自分!

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