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第41話 立ち止まった時に少しくらいの休憩は必要だ。

 気持ちを誤魔化さない、曖昧な態度はしない。ちゃんとけじめをつけたい。でもどれが光喜に対する正しい答えなんだろう。  こうして鶴橋を選ぶことに決めたわけだが、光喜に対してどうするのが真摯な対応なのかがわからない。向こうはこの状況を見て答えはわかっているはずなのに、まだ諦めてないって言う態度を見せている。  こっちと付き合うからお前とは付き合えない。だから諦めて、って言うのか? だけど人間そう簡単に切り替えられるほど短絡的には出来ていない。好きって感情は簡単じゃないから募るんだ。 「勝利、ラーメン伸びるよ」 「ん? ああ、うん」 「なに真面目な顔してんの」 「いや、お前になんて言おうかと思って」 「悩まず一言、お前が好きだよって言ってよ」  なんてことないみたいな調子で笑った光喜は隣で豪快にラーメンを啜る。その横顔を見ながら俺はますます複雑な気持ちになっていた。しかし腹が減っている身体の訴えを無視することも出来ず、どんぶりに箸を向ける。  焦がしニンニクの豚骨ラーメン。ここのはめちゃくちゃ旨いんだが、なんだかいまはちょっと味がぼやける。しかしそんな微妙な俺の顔がわかりやすいのか、光喜が苦笑いを浮かべた。 「勝利は俺が迷惑なの?」 「えっ? いや、迷惑とかそう言うのではなくて、なんていうか。お前しんどくない?」 「んー、しんどくはないよ。いまは勝利の傍にいられたらそれでいいかな」 「俺、よそ見しないけど」 「そんなこと知ってるに決まってるじゃん。何年一緒にいると思ってんの」  吹き出すように笑うその顔は、強がりを言っている風でもない。次の恋をするまでは傍にいさせてってことなのか。そういやちょっといまは消極的だったもんな。  ずっと切れ間なく誰かと付き合ってきた光喜にブランクがあった。それだけでもいつもと違うのがわかる。いまはただ寄り添える相手が欲しいだけなのかもしれない。 「光喜、たまにはまたこうやって飯食いに行こう」 「……うん。あ、遊園地は行こうね。俺、楽しみにしてたんだから」 「そうだな」  休憩が必要なら、ちょっとくらい肩を貸したっていいよな。そのくらいは許してくれるかな?

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