163 / 280
彼の好み リベンジ 20
「………っ岩井、待って……ちょっと……休憩、させろ」
「ん………、はい」
逸の呼吸から逃げるように敬吾が顔を背ける。
やや落胆気味に、しかし素直に逸は敬吾の横に半身を立てた。
「でも入れたままでもいい……?」
「ん……」
疲れ果てたように敬吾が頷くのを見届けて、逸は敬吾の体を自分と同じように横にして背中から抱き込む。
逸の腕に頭を預けると敬吾も安心したように吐息を漏らした。逸もふっと微笑む。
「……何か食べます?」
「や、大丈夫……」
「ん」
逸の手に髪を梳かれ、腹を撫でられて敬吾は目を閉じた。
そこまで体が疲れているわけではないのだがーー。
体の芯の、心と言うかーー魂とでも呼ばれるところに近い部分が震えているような感覚。
決して不快ではないのだが感じたことのない感慨に、少し怖気づくような気持ちになる。
「んっ…………」
「ぁ……ごめんなさい」
「うん……」
逸が身じろぎでもしたのか中を軽く抉られる。
そしてまた、ぞくぞくと胸の奥が総毛立つような切なさ。
逸が後ろにいて良かったーー今自分がどんな顔をしているか分からない。
蕩けた顔を更に困ったように眉根を寄せて敬吾が唇を噛んでいると、逸の片脚が敬吾の脚を掻き寄せるように絡んだ。
「ぁ………」
「……ごめんなさい、少しだけ」
「んっ……………」
耳元で逸の呼吸はまた熱くなり、耳に首にと口付けられる音が小さく響く。
脚を撫でていた手が内腿に滑り、鼠径部をくすぐって腹へ胸へと上がっていく。
「や………逸………、」
柔らかく全身を揺すぶられて、敬吾はまた何も考えられなくなった。
撫でられる度また温かい熱が滞留して体が撓る。
「敬吾さん……、可愛い………」
「んゃ……逸、あっ、ぁ………」
「敬吾さん、気持ちい?」
「ん………っ気持ち、いぃ…………」
「ふふっ……」
決して激しい快感ではないのに抗いようもなくその熱に引き込まれてしまう。
そうして正気を手放していた間敬吾は喘ぎに喘いで、逸はにやけににやけた。
自分でも知らないうちにまた激しく達して、文字通り果てるように意識も手放して、敬吾がまた自我を取り戻した時にはとっくに夜は明けていた。
ともだちにシェアしよう!