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祝福と憧憬

「だーからやめとけって…………あのなあ人の迷惑考えろよ!軽く言うなって、第一どこに……聞いてんのか!?よろしくねえよ、おいっ!………………あーもう……」 がなる敬吾に、正座する逸。 しかし叱られているのは逸ではなかった。 敬吾の電話の相手である。 「敬吾さん…………大丈夫ですか?」 恐る恐る声をかけると眉間に皺は寄せたまま、しかし冷静な様子で敬吾は逸の方を見た。 感情を混線させない辺りは流石だが、場馴れしているはずの逸を怯えさせる程度には今日の怒りは激しいようだ。 「んーー……、どうだか……」 しかも難しい事案であるらしい。 また無理でもしなければいいがと逸が心配になったところで、今度は逸の携帯が鳴る。 あまりタイミングの良くないそれに一応目を通して逸は立ち上がり、壁に貼ってある来月のシフト表を見に行って小さく首を傾げた。 「どうした」 「えっとー……今お姉さんから、来月の30日暇かってメール来て」 「はあ!?」 「敬吾さん希望休取ってますよね、何かあるんですか?」 雀くらいなら蹴散らせそうな大きな舌打ちをし、敬吾は逸の問いには応えず自分の携帯を取った。 そのまま桜に発信する。 「出やがんねえ!!!」 「な………何事っすか…………」 またもびくつく逸に、溜め息をつく敬吾。 「何考えてんだよマジで」 「もしかしてさっきの電話もお姉さんですか?」 「そう」 一体何があったのだろう、自分に来たメールもやはり関係があるのだろうか。 逸は携帯を片手に立ち尽くしたまま、また桜に電話を掛け、諦めて切っている敬吾を見つめていた。 「今度はどうしたんですか、お姉さん」 「んーー………」 「結婚式にお前も呼ぶって言い出した」 「えっ!!」

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