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酔いどれ狼 4

敬吾が髪を拭き拭き浴室から出てくると、携帯が着信を知らせていた。 発信者は、後藤。 怪訝に思いながらも端末を耳に当てる。 「もしもし?」 『あー、良かった繋がった』 「え、何事?」 『今岩井くんと飲んでたんだけどさーーー』 「はぁ!!!!?」 前のめりになるほど驚いて敬吾が絶句していると、しばらくして小さな後藤の笑い声。 「……………飲んでる?岩井が?」 『そうーーーーえ?怒ってる?』 「…………………」 気軽だった後藤の声が神妙に抑えられ、それを遠くに聞きながら敬吾は考えていた。 逸が酒を飲んでいる? 怒っているかどうかは分からないが、いたく衝撃は受けていた。 『敬吾?聞いてるか?』 「……………おう」 『俺が勧めたんだよ、岩井くんは飲まねーっつってたんだけどさ。ごめんごめん』 慌てたような後藤の弁解に、敬吾は思わず詰めていた息を逃がす。 逸が自分から進んで飲んだわけではないらしいことが、いくらか気持ちを軽くした。 『んでさ、岩井くんちってどこ?送ってくわ』 「潰れてんの?」 『んー、そこまでじゃねえけど、一人じゃ無理だな』 潰れてるじゃねえか。 ぱたんと顔に手を当てて、敬吾はまたため息をついた。 何か醜態を晒していなければいいが。 「……じゃあ、俺の部屋連れてきてくれ」 『おぉー??』 「違うって、もともとアパートが一緒だったんだよ」 『へぇー??』 「………住所言うぞ!」 完全に囃し立てている後藤に苛つきつつ用件を済ませ、通話を切って敬吾はまたもやため息をついた。 「飲んだぁーー………?」 怒るべきか心配するべきかも、いまいち分からなかった。

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