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第5話
雷にゃんになって半年、この街の事も学校の事も大体分かってきた。
ダチになってくれたみんなは、越してきたばかりの俺を色んなとこに連れて行ってもくれた。
大学受験なんかとは縁がない俺らは、それこそ夏休み中ずっと一緒に居たかもしれない。
その間に何回かケンカにも巻き込まれた。
俺の事をひ弱だと思ってたらしいダチ等は、俺の立ち回りを見てめちゃくちゃ驚いてて笑ってしまった。
いつも七~八人でつるんでるその中に、ほんとにケンカが超強かった迅も含まれてるのが気に入らない。
翼曰く、「雷にゃん」はこの街で幅を利かせてる迅のお気に入りなんだって。
そんなの知らないっての。
お気に入りと言っても、迅は俺の事イジって楽しいオモチャとしか思ってない。
未だに「方向音痴」って揶揄ってくるんだから、マジでしつこいよ!
「おい雷にゃん」
「んー?」
「ぷっ…あだ名定着し過ぎ。 こう呼ばれんのが普通になってきてんな」
フッと気障に笑う迅から、今日も部屋に連れ込まれている。
ベッドに寝そべった迅と、ベッド枠に背を凭れてスマホをイジる俺っていう図は、「雷にゃん」と同じくらいいつの間にか定着した光景だ。
スカしてて意地悪な事ばっか言ってくるけど、迅と過ごす時間は実はそんなに嫌いじゃない。
「いちいち怒ってたら俺の頭が爆発してぶっ飛びそうになるんだよ! あっ俺のコーヒー!」
自販機で買った微糖のコーヒーを飲んでたら、無理やりそれを奪われて飲み干された。
ムカつく。
まだ一口しか飲んでないのに。
今日は学校帰りにダチは揃ってナンパに出掛けてしまい、迅も一緒に行けばいいのに何故か俺の隣から離れようとしなかった。
ついでに言うと、ナンパに付いていこうとした俺を止めたのも迅だ。
ま、迅が行くと声掛けた女達みーんな迅狙いになっちゃうだろうから、行かないで正解だったのかもしれないけど。
やたら二人きりになりたがる迅は、ある時から俺を部屋に連れ込む回数が多くなった。
「雷にゃん、来いよ」
制服のままベッドで寛いでる迅が、ポンポンと空いたスペースを叩いて俺を呼んだ。
「えー…」
「抜きたい」
「なぁ、俺らほぼ毎日やってねぇ? そんなすぐ溜まるなら彼女作れば」
「女はめんどくさい。 ほら、早く」
はいはい…と俺は迅の隣に横になる。
そう。
迅と俺が度々二人きりになるのは、気心知れたダチにさえちょっと言えない事をしちゃってるからだ。
抜きたい、って迅が言った言葉通り、コキ合いっていうのかな。
二ヶ月前、まだ夏休みだった暑い最中。
忘れもしない。
初めて迅の部屋に来た日だった。
寛ごうとしてた俺に、迅が突然AVを観せてきたんだ。
そんなもの観たら男ならどうしたって勃っちゃうだろ。
下半身が反応してしまってアワアワしてた俺を見て笑いながら「抜こっか?」って迅が言ったその時から、ここに来ると互いのアソコを握って、擦って、射精する。
ダチ同士でこんな事するなんて絶対変だって分かってるんだけど、迅の手は温かいし大きいから気持ち良くて…流された。
おまけに迅の扱き方がテクニシャン過ぎて、俺の単純な脳はほんの少し擦られただけですぐにぽーっとなってしまうんだ。
「考え事?」
「え? いや…」
「雷にゃんの目の前に居るのは誰?」
「迅」
「だろ。 他の事考える余裕あんなら俺を見てろよ」
「なんだそれ」
まるで彼女に向けて言うような台詞と迅の真剣な顔に笑いが出た。
足の長い迅から囲われるように向き合って座る。
早くもゴソゴソとスラックスから俺のを取り出されて、迅のご立派なブツと一緒くたに握られた。
…迅の、もう固い。
「あっ…」
「雷にゃん、キスしてみる?」
「えぇ!? してみない! それは無理!」
「なんで。 盛り上がるよ」
「も、もも盛り上がらなくていい! 抜くだけだろ!」
「一回してみよ」
「いやいや、それは無理…んっ!」
急に何を言い出すんだと逃げ腰の俺の後頭部を掴んだ迅から、物凄い早業で唇を押し当てられた。
うわ…。 俺、迅とキス…してる。
ちゅ、ちゅ、と何度も顔の角度を変えながら迅の唇が降ってきた。
さすが、慣れてんなぁ。
キスってこんな風にやるんだ…って思ってた俺のファーストキスの相手は、迅って事になってしまった。
「んんっ、…ちょっ、ベロは…んむ、っ」
「喋ると舌噛むぞ」
「だ、だって…こんなの…んん!」
テクニシャンな迅は、抵抗しようとして口を開いた隙にベロまで入れてきやがった。
どういうつもりなんだよ!
ダチ同士で溜まった精液を出すだけじゃ足りないっての!?
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