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第2話 Sniper

今話題の男性アイドルグループ『Sniper 』 彼らが活動を始めたのは去年からで、今年からテレビに出て、CDもばんばん売り出し、毎回と言っていいほど競争率の高いチケットの争奪戦が始まり、ライブもどんどんと大きくなっていく。 世の人達を騒がせるグループメンバーの一人は、汗をかく姿さえもかっこよくて、歌声はメンバー1力強く客を魅了し、ワイルドで男前な 桐ヶ谷 雅 きりがや みやび 通称「ミヤ」 おっとりとした雰囲気を纏っているが、メンバーの中では表現力の高いダンスを魅せる 小鳥遊 弦 たかなし ゆづる 通称「ユヅ」 その中でも、ミヤとユヅの真ん中に立つ男は、二人に負けないくらい気高く美しいその姿は気品に溢れるが、周りに流されず飾らない性格で、今注目高いアイドルナンバーワンでありセンターを務める 高峰 奏楽 たかみね そら 通称「 ソラ」 俺はさっきまでSniperの握手会で、そのセンターの高峰奏楽と握手したんだ… 先程の記憶が蘇ってきて、っっと声にならない声を出す。思い出すだけでじーんと胸が熱くなる。 指でトントンとリズムを取りながら、sniperの新曲を聴きながら歩いていると、突然三人の声が消えてブーブーと俺のポケットから何かが振動している。 取り出すと電話が来ていて、バイト先と表示されていた。 普段は滅多に電話はこないが、俺に電話をするってことは、きっとヘルプの電話だ。 俺は、鳴り終わらない電話にようやく出る。 まだ余韻に浸りたかったが、俺は先週まるまる休んだのもあって、電話口から聞こえる声にはい答えた。 短い余韻を後にし、その場から立ち去った。

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