「おはよう、ナツ」 　低い声が、耳元から聞こえてくる。目を開くと、碧眼を飾る長いまつげ一本一本まで、よく見える。金色の髪が窓から差し込む光できらきらと輝いている。 　昨日の嵐はとっくに過ぎたようで、真っ青な空と同じ瞳ががやけに眩しかった。 「ジェフリー、おはよう。気分はどうだ？」 「ああ、最高に気分がいい。なんて言ったって、ナツが抱きしめてくれて、添い寝してくれたからね」 　昨日のことはなかったかのようにふるまっていた。 「無理していない？」 「ナツをどれだけ愛しているかわかってもらえてよかったよ。結果オーライだ」 　そう言って、音を立ててキスされた。舌先で彼の舌をつつくと、目をまあるくした後、絡ませてきた。やっぱり、ジェフリーのキスは気持ちがいい。 　そっと唇を離され、物寂し気に唇を見つめながら、「好きだ」と呟いた。 「俺もナツが好きだ」 　コワレモノを扱うように、ゆっくり優しく身体中を撫でさする。知らずこわばっていた身体がほぐれていく。もどかしさに身をよじると、乳首をつねられ、大げさとも取れるほど大きく背中をしならせた。 「……アッ」 「もっと聞かせて」 　片方の手で胸をいじりながら、もう片方の手がわき腹を撫で、下へ下へと降りていく。 「じれったい、ちゃんとしろよ」 「ちゃんとしてるよ？」 「だからっぁッ、ああっ」 　内股やわき腹などくすぐったくてじれったい部分を重点的に愛撫しながら、気まぐれに夏樹自身を撫でたり会陰を押したりする。 　そう言いながら、ベッドサイドテーブルの引き出しから、ボトルを取り出した。 　あの時と同じように、慎重に内壁を拡張する。気持ちいいような気持ちよくないような感覚が前立腺を押した時一気に、快楽のほうへ振り切れた。体内でうごめく指ですら、愛おしい。 「もう、欲しい。ジェフのが欲しい」 　指をずるりと抜けるのを阻止しようと内壁が強く締まった。ジェフリーは、くすりと微笑みながら、 「ナツ、慌てないで。……全部、あげる」 　耳元でささやいてきた。金属のパッケージを開け、隆起したモノに装着した。その間、ギリシャ彫刻のような肉体美をうっとりと見て、撫でる。 「かっこいいな」 　後孔に熱塊が押し当てられ、身体が力んだ。左脚を胸につくくらい折り曲げて、ゆっくりと最奥まで入れ、律動を刻む。長くて受け入れるのが苦しかったが、擦られている内壁全部が気持ちいい。征服される悦びに身体が震えた。 　呼吸も心拍数も同期したように、一つに溶け合う。 「ナツと偶然出会えて、しあわせだ」