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第1話

行きつけのスーパーは二階建てで、二階には売れ残ったタオルの掃溜めと色がくすんだアイスの自動販売機が存在している。 ここはそこそこ人も居て、そこそこ品揃えが良い店だから、開店9時から閉店10時まで賑やかだ。だけど、二階はその上に駐車場があるわけでもなく、なにか魅力のある商品やアトラクションがあるわけでもないから、何時も無人で独特な凛とした空気が流れていた。 手の中にある買ったばかりのアイスの包装紙を剝して、手のひらでぐしゃりと潰す。 俺以外誰も居ない。 俺以外存在しない。 誰も俺に干渉しない。 俺は子供みたいに舌の先を使ってアイスを舐めた。食い方を変えたって、誰も気に留めやしない。 少し埃っぽいのも、販売機の機械音が鼓膜の浅いところを揺らしているのも、ベンチが汚いのも、心地良い。 「──抹茶うまいなぁ・・・」 何も変わらない。 何も変わるな。 これ以上の刺激は俺には濃いすぎる。 高校二年にして、俺はもう人生にウンザリしていた。そこらでランニングしてる爺さんの方が立派な夢を持ってるに違いない。 アイスの棒を横から呑み込んだら、窒息してあの世にいけるのかな。 くだらない人生の終わり方しか模索出来ない。

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