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第208話 恋人アプリやってみました47p

 考えているうちに、天谷は浅い眠りへと入る。  そして、天谷は夢を見る。  水族館に日下部と二人でいる。  天谷と日下部以外に、不思議と客はいなかった。  薄暗い水族館の中、二人は鯵の群れの泳ぐ大きな水槽の前にいた。  大群を組み、悠々と泳ぐ鯵の群れを、天谷はじっと見ていた。  すると、その鯵の群れが日下部の姿で隠れる。  何かと天谷が思う隙に、日下部が天谷を抱きしめた。  天谷は何の反応も出来ず、そのまま日下部に抱きしめられたまま。  ふと、日下部が、天谷の耳元で何か囁いた。  何と言ったのか、と天谷が訊き返そうとしているうちに、日下部の手が天谷の黒いシャツのボタンを上から順に外し始めた。  天谷はそれを拒むことはせずに、ただそこに立っていた。  シャツのボタンを全部外し終えると、日下部が天谷を再び抱きしめ、キスをした。  キスをしながら日下部は天谷の裸の体に触れる。  天谷は拒まない。  誰もいない水族館で、キスをしながら平たい胸を撫でられて、天谷は何も感じず、何も思わず、ただ日下部が耳元で囁いたことだけが気になった。    日下部の荒い息遣いを感じる。  ああ、これから自分は…………。  スマートフォンが振動する音で天谷は目を覚ました。 (っつ、嫌だ、何て夢見てるんだ、俺)  天谷は熱を持った自分の頬に触れる。  こんな夢を見るのは、天谷は初めてだった。 (赤式さんと恋人さんの旅行の話を読んだから? それにしたって……)  天谷は恥ずかしい気持でいっぱいになる。  天谷はその恥ずかしさを紛らわすように、スマートフォンに手を伸ばす。  スマートフォンの画面を開けば、赤式からの返信のメッセージが来ていた。  天谷はそれを読む。 『恋人アプリ・カスタマーセンター担当赤式で御座います。  @あま様、返信お待たせ致しました。  お返事頂き、誠に有難う御座いました。  質問にお答え頂きまして有難う御座います。  恋人様と眠った夜は、色々あったのですね。  仲睦まじい様子で何よりで御座います。  その時の恋人様の台詞、で御座いますが、冗談では無く、本気の一言だったのではないでしょうか。  つまり、恋人様は、@あま様を、そういうことが出来る相手として認識している、ということで御座います。  恋人様は、@あま様をやはり求めておいでなのです。  そこは、信じていいと思います。  @あま様は、そのことに関してお恥ずかしいと感じるかと思いますが、恋した相手の体を求めることは、淫らなことではないと、わたくしは思います。  心も体も、@あまを欲しいと、本能的に恋人様は感じていらっしやるのです。  それだけ、愛されている、ということ。  例え、恋人様の台詞が冗談であった台詞でも、本能は@あま様を求めていらっしやるのです。』

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