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第1話
セブンスターを愛するヘビースモーカーのアイツとは幼なじみだ。
気づけばいつも隣にいた。
幼稚園から大学生になった今まで学校も一緒で。
楽しい時も悲しい時も悪い事した時もアイツの隣にいたのはオレだった。
そして、いつの間にかアイツを好きになっていた。
いつから好きになったのかとか、好きになったきっかけとか全然わからないけど。
でも、気づいたらアイツを好きになっていた。
そしてアイツと同じセブンスターがオレも好きだった。
「オマエはヘビースモーカーだからいつも蒸気機関車みたいに煙を出してるし、そんなんじゃ女の子も嫌がるからオマエと付き合えるのは同じヘビースモーカーの女くらいだよな」
「確かに〜!」
なんてアイツとセブンスターを吸いながら笑って話した5年前。
1日3箱は吸ってた大好きなセブンスターとお別れしてタバコを吸ったこともない女の子とアイツは今日、結婚式を挙げる。
アイツが急に禁煙すると言い始めた3年前。
「とうとうドクターストップでもかかったか?」
なんてからかったオレに
「好きな子ができたんだ。その子はタバコなんて吸ったこともないような子で、だから愛しのセブンスターとはお別れする事にした!」
って宣言したアイツ。
1日3箱も吸ってるのにそんなの出来るわけない、もし禁煙出来たとしてもその子と付き合えるかなんてわかんないし。
そう自分に言い聞かせてアイツの隣で居心地のいい幼なじみポジションを守り続けたオレ。
そんな酷いこと思ってたから罰が当たったんだな。
好きなアイツが他の誰かと幸せそうにする姿を見なくちゃいけないことになった。
オレはアイツと仲のいい幼なじみだから結婚式に出ないなんてことは出来ないしオマケにスピーチまですることになっている。
アイツがまだセブンスターを吸っていたあの頃。
もしも、あの時に好きだと伝えられていたら…
オレがアイツの隣で一緒にセブンスターを吸いながら笑っていた未来もあっただろうか。
そんなことを考えながら吸ったセブンスター。
「まず…っ」
アイツと吸っていた時は美味しかったセブンスターは1人で吸うと不味かった。
それはオレがタバコが好きだったわけでもなくセブンスターが好きだったわけでもなくてアイツが好きだったからだと気づくには少し遅すぎた。
「オレも禁煙しようかな!」
なんて独り言を言いながらアイツを祝福するために式場へと向かう。
頬を伝う涙は感動の涙ということにしておこう。
-これは、セブンスターを愛するヘビースモーカーの男を好きになった男の話。
完
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