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彼と君と僕

今日もつまらない学校から 重い足を引き摺りながら歩く。 こんなに意味の無い事を義務にするこの国はどうかしているんだろう。なんて戯言を考えていれば 家に着いた。 「ただいま〜… !いちにい!」 「おう、おかえり三郎、」 玄関を上がりリビングのそこにはキッチンに立つ長男の姿があった。 「今日の夕飯何がいい?」 「いちにいが作った料理なら何でも良いです!」 嘘をついた。本当はハンバーグが食べたい。けれど ただでさえ男手一つで僕達を育ててくれる兄に迷惑をかける訳にはいかないのだ。 「んー なんでもいいが1番困るんだよなぁ…」 と兄は困ったように眉を顰めた 「にーちゃんただいま!」 階段を大きな音を立てて上がって『2番目の兄』が帰ってきた 「おう、二郎 おかえり」 「チッ、帰ってきたのか低脳」 「なァんだよ三郎、おかえりも言えねぇのかよ」 「はぁ??お前こそ静かに帰宅する事も出来ないのか?」 「おいお前ら。兄弟仲良くしろってあれほど言っただろ」 「………ごめんにーちゃん…」 「ごめんなさい、いちにい…」 「分かればいい。で 二郎、今日の夕飯 食べたいもんあるか?」 「…えっと、ハンバーグ食べたい!」 「おう、世界で1番美味いハンバーグ作ってやるから 楽しみにしとけよ〜!」 いちにいは僕と二郎の頭をわしゃわしゃと撫でると満足気に笑うとキッチンへと戻って行った 僕達がリビングでぐだくだとテレビを見ていると 「よし、作るか!…っ〜と? あれ、卵ねぇな…」 といちにいの声が聞こえた いちにいが困ってる… あの低脳より役に立たなければ! 「! いちにい!僕が買ってきます!」 「ちょっ、三郎ずりぃぞ!」 「おうおう二人共ありがとな、じゃあ早かった三郎に頼むわ」 「はいっ!」 「えっ!……俺だってにいちゃんの役に立ちたいよ…」 「ははっ、気持ちは嬉しいけど今回は三郎に任せてやってくれねぇか」 「むぅ…にいちゃんが言うなら…」 「ありがとな、二郎」 「へへへ…」 「では 行ってきます!」 「おう、頼んだぞ三郎!」 いちにいに久しぶりに頼られた僕はご機嫌でスキップしながらスーパーへ向かった。 ここまでは良かったんだ… ここまでは。 いつも通りの商店街を歩くだけなのに足がとても軽い。学校帰りとは大違いだ。 「ふ〜んふふんふっふん〜♪」 鼻歌を歌いながらスキップしながら歩いたって今の気分じゃ恥ずかしくなんてない。 いちにいの役に立てるなら 今ならなんだって出来る気がした 行きつけのスーパーに入ろうとすると 「………ぶろぉ」 何処からか声が聞こえる。 声がした方を振り向くと 知らない二人の男が路地裏から顔を覗かせていた 「…ッ! ………誰だよお前ッ…」 「はっ、名前なんてないさ 君は『Buster Bros!!!の山田三郎』クンだろ?」 なんで僕の名前を… と言いかけた所で路地裏に連れ込まれ とても綺麗とは言えない地面に押し倒された 当然 中年男性二人の腕力に中学男子が適う筈も無く身動きが取れない状態になってしまった 「裏の方では『可愛いコ』だって有名だぜ?なあお前?」 「そうだなァ こんな所で会えるなんておじさん達嬉しいなァ」 「ぐっ…ひッ……ぼ、僕に近付くな! 」ヴォン 僕は本能で前にいちにいに言われた『"普通"の人にマイクを使うな』という約束を破り咄嗟にポケットからマイクを取り出し起動した。 ごめんなさい いちにい。こいつらは…絶対"普通"じゃない…… 「おォーッと?マイクとはいい度胸だねェ さぶろォクゥン?」 「でも残念だったねぇ おじさん達もマイク持ってるんだよ」 「…!?」 なんでこいつらがマイクを? しかも持っているのはきっと違法マイクだろう すぐに逃げなければ、しかし地面に押し付けられている状態では助けを呼ぼうに呼べない。 今まで体験した事の無い緊急事態に脳が真っ白になった 「じゃあ大人しくしようね サブロークン♡」 と男達は手馴れた手付きで服を剥ぎ取っていく 「や、やめろッ…その穢れた手で触るな… 助けて……いちにい…」 「あれ?まだ助かると思ってるの?」 「じろ……」 生理的な涙が流れてくる。誰か、誰でもいいから。 夕方のこの時間帯の商店街は賑わっているが 路地裏の子供の助けなど誰の耳にも入らないだろう 遂に全ての服を剥がされた 「今から何するか分かるよね三郎くん?」 「はぁッ… おじさん達興奮してきちゃった…」 一人の男の方に眼をやればそそり立ったソレがむわぁとした匂いを纏っていた 「…ッ…オ゛エ゛ッ…」 汚い地面をさらに汚す。 「緊張しちゃったのかな?大丈夫?」 これからされる行為は何となく察しがついた 今から自分の中にこんなものが容れられてしまうと思うと自然に涙が流れた 「俺のみて泣かないでよォ 萎えちゃうじゃァん」 「お前のが凶悪すぎたからだろ」 「そりゃあのあのさぶろークンのナカに容れられるなら皆興奮するだろォ?」 「まぁな」 なんて会話をするコイツらは頭がおかしい。どうかしている 「じゃあ早速本番させて貰っていい?」 「…何言ってんだッ…やめろッ」 「まァいいからいいからァ 」 向かい合う形で無理矢理脚を開かされた 「なァんだ さぶろークン トロトロじゃんかよォ」 「ほんとだ 感じてんの?」 「そんな訳無いだろッ…」 「ホントォ〜?じゃあ容れちゃうね♡」 男の凶悪なモノがめり込んできた 「はァッ… 男子中学生の中おじさん気持ちぃよォッ」 「やめろッ…やめろぉ……」 泣きながら訴えても男達の耳には届いていなく、男は律動を開始した。 「今ッ…さぶろークンッ…僕とォ…繋がってるんだよ?キモチイ?」 「気持ち良くなんか、んッ…あッ…、 あぁッ… 」 男同士の肌と肌がぶつかり合う音が路地裏に響く 男の湿った手が三郎の身体を蠢く その間も動きは止まることなく早まるばかりだ 「あんッ…触るなッ… 」 そしてそこへ辿り着くと男はいやらしい手付きでそこをこね始めた。 「そこはッ…んっ、あっ、」 「ここ感じるんだね?」 指の腹で思い切り押される。 その刺激は無経験の中学生男子には強すぎた。 「んッ… あぅッ!」 白濁が勢いよく吐き出された。 「あれれー?イッちゃったの?」 「もうやめてください… 何でもしますから……」 「……何でもねェ?」 「おいお前、折角なんだからこのマイク試してみたらどうだ?」 「確かにいいかもね♡」 「……!」 もう1人の男が鈍色のマイクを握り口を開く 遠のいていく意識。 「……はっ!」 目を覚ましてすぐに視界に入ってきたのは あの『2番目の兄』二郎と自分を犯した男だったのだ。しかしここは確かに路地裏だ。何故ここに二郎が。 そうだ。きっと違法マイクだ。 「さぶろークンが嫌いなじろークンを連れてきたよ♡ 嫌いな兄に犯される気分はどうかな?」 「そんなッ……」 「三郎ォ… にーちゃんの舐めてくれねぇか…?」 話し方が違うからきっと"これ"は兄では無いのだろう。 けれど確かに今目の前に居るのは確かに二郎だ。 「悪ぃさぶろぉ、にーちゃんもう限界だわ」 と言うとモノを乱暴に口の中に突っ込んできた。 「ぐる゛し゛ッ…… ガポッ゛…」 「あっ、愛してるよ、三郎、」 「!」 "奴"は 僕の後頭部を抑えるとグポッグポッと下品な音を立てて腰を振り始めた 「ちょっ、三郎、締めすぎだッ… 出るッ……」 「…ゴクンッ…… ゲホ゛ッ゛ゲホ゛ッ゛」 僕は出されたものを呑み込んだ 「こいつ呑みやがった……」 「ははっ、やっぱすごいなァ」 「今 俺 山田二郎に見えるゥ?見えるから汚いのに呑んでくれたんだよねェ?それともあの『愛してる』が効いたのか?」 「ァッ、……じろぉ……」 確かに僕は密かに二郎に好意を寄せていた。 けれどこんな形で叶ってしまうなんて。 僕は力無くして小汚い壁に寄りかかる様に倒れた 「美しい兄弟愛だなぁ?三郎くん」 「でも今さぶろークンは"お兄ちゃん"とイケナイ関係になっちゃったんだよォ?今頃 お兄ちゃん達は必死になってさぶろークンの事探してるんじゃないかなァ」 「"兄弟失格"だな」 「あははははっ 流石に言い過ぎだってじろークン」 「……ほんとだ… 僕は…山田家に居るべきじゃないんだ…………」 僕はもう汚れてしまったんだ。 純粋では無くなってしまった。こんなんじゃ、こんなんじゃ…… 誰かの走る足音が聞こえる。 「……〜ろぉ! さぶろお!何処にいるんだ!」 「おい三郎!!返事しろ!!」 遠くでサイレンが鳴っている。 「ほらほらお迎えだよ三郎くん?」 「じゃあその格好でお出迎えしてあげな?♡」 「あ……」 僕はただ虚ろな眼で返事をする事しか出来なくなった。 今の僕に山田家を名乗る資格は無い。 卵買ってこれなくてごめんなさい、いちにい。 素直になれなくてごめんなさい、じろう。 足音が段々近くなっていく。 『今まで沢山迷惑を掛けてしまってごめんなさい。一郎さん、二郎さん。』

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