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第一話
「はぁ~~~~~良い!! 最高だぁっ!!」
「今日も書いてるの、ソレ? 」
「最早ストーカーだな」
昼休み。
昼の特等席と言ったら、屋上。涼しい風が吹く場所で、俺達は優雅に昼ご飯を食べていた。
と言っても、特に弁当を持ってきてる訳ではないので、購買で買ったパンをちまちま食うだけだけで。
「よくもまぁ、そんなに書けるよねぇ~俺、尊敬しちゃぁう」
自分の髪を三つ編みにしながら、呆れた様に答えるのは、広瀬 遊。
ちなみに、昼も食べずに髪をいじってるので、よくまぁ倒れないよなぁ……としみじみ思う。
4つ目のメロンパンをかじる。
「お前のその先輩への執念はなんなんだろうな」
カチャリと眼鏡を鳴らし若干引き気味の、 黒木 千歳。
彼の本体は眼鏡。異論は認めない。
「やっぱまぁほら、先輩だから仕方ないわけじゃん? 」
そして俺は、天野 宙。
中高一貫校に通う俺達は、中学の頃からクラスが一緒だ。
まさかの4年連続。腐れ縁なため、今では殆ど一緒に行動している。
「先輩だから仕方ない、って理屈が凄いよ?」
「そんなに日記を書き続けられる持続力を、勉強に活かして欲しいけどな」
遊の言葉に千歳が被せる。
2人して人の心を考えないやつだ。全く。
日記を書くのは楽しい。
でも勉強は楽しくない。
それに、自分のつまらない日記を書くのも楽しくない。
自分でも、中一から始めた日記が、まさかこんなに続くとは思っていなかった。驚き。
「いや、これは先輩限定だから」
“㊙!!”と大きく書かれた、一冊のノート。
何度も使われ、ボロボロになった年季入り。
題名は、“片思い日記”。
「いい加減告白しなよ」
「と言っても、3年以上拗らせてるからどうとも言えんがな」
「は~うるさいなぁー」
大好きな先輩を書き留める、片思い日記を抱え、俺は2人に微笑んだ。
「だってこんな想い、気持ち悪いでしょ」
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