迷子になった芽生はすぐに見つかったのに、瑞樹の動揺の仕方は尋常でなかった。芽生を抱きしめている瑞樹自身の躰がいつまでもガタガタと震え、曇りなく澄んでいた眼からは、次々と透明な涙が溢れ出ていた。 　見ていられないよ。 　君のそんな泣き顔……切なすぎるだろう！ 「おい、一体どうした？芽生なら怪我一つなく見つかって、もう笑っているよ。瑞樹のせいじゃないんだ。だからそんなに泣くな」 「でっでも……宗吾さん……うっうっ」 「……瑞樹？」 「パパ、お兄ちゃんどっかいたいの？エーンエーンって泣いてるよ」 　芽生も瑞樹の乱れ方に驚いていた。 「そうだな……どこか怪我しちゃったのかもしれないな」 　もしかして……瑞樹の心の、触れてはいけない何かに触れてしまったのか。 　瑞樹……大丈夫か。 　俺が傍にいる。 　だからそんな泣くな。 　何だか俺の知らない瑞樹みたいで、不安になってしまう。 　人目がなければこの場で抱きしめて俺の温もりで包み込んでやりたい。それが出来ないからどうやって慰めていいのか、何故こんなにまでショックを受けているのかも分からないから……俺では悔しいことに、なす術がなかった。 　すると俺たちの様子を心配そうに見ていた青年から声がかかった。 「あの、もしよかったら、俺たちのサンシェードで休みませんか。向こうに大きなのがあって、その、連れが医師なので、背中の日焼けの応急処置もできますし」 　芽生を見つけてくれた美しい青年の申し出に従ってみようと思った。瑞樹の美しい背中に火傷跡を残すのは忍びないし、何より瑞樹の取り乱した方が心配だったから。 　初対面の人たちなのに、なんだか何もかも達観したような深い眼差しに誘われたのかもしれない。 「じゃあ……お言葉に甘えて、少し御厄介になります」 「えぇぜひ！さぁこっちですよ」 　俺は瑞樹の薄い肩をしっかり支えてやり、芽生ともしっかり手をつないで……彼らと共にサンシェードに向かった。 「瑞樹……大丈夫か。少し休もせてもらおう。なっ」 「すいません。宗吾さん」 「そんなに謝らなくていいんだよ。瑞樹は悪くない」 「……ありがとうございます。うっ……」 　瑞樹の涙はまだ止まらなかった。 　こんなにも君のことが、心配で心配で溜まらないなんて…… 　瑞樹にまた笑顔を浮かべてもらいたくて……たまらない。 　たまらない人だ。 　瑞樹は俺にとって……何もかも。 ＊＊＊＊ 本日フジョさんのエラーにつき……短い更新で申し訳ありません。 実は昨日の更新分でいただいたリアクションだけ消えてしまって、しょんぼりしています。 いつもリアクションが更新の励みになっているので、有難いものだと改めて思いました。 いつもリアクションを贈ってくださる読者さまありがとうございます。 夏の楽しい話のはずが、また切なくなってすいません。 でもきっと瑞樹は大丈夫。もう彼はひとりではないのですから。と思っています！ 最後はとろける甘さを目指して更新していきます～