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北の大地で 9
深まる口づけは甘い蜜のよう。
もっともっと……もっと欲しい。
泉のように沸き上がる欲情に翻弄されるように、瑞樹の淡い桜色の唇を無我夢中で吸ってしまった。そんな俺の激しい欲求に、瑞樹も懸命に応じてくれている。
可愛い、本当に可愛い。
瑞樹の口腔内に舌を潜り込ませ彼の舌を誘い出し絡め合っていると、互いに蕩けるような心地になってきた。
とうとう我慢出来なくなり、そっと彼の下半身に手を伸ばしてみると、布越しにも反応しているのがしっかり分かるほど顕著に反応していた。こんな天使みたいな顔をしていても、ちゃんと男なんだ、瑞樹は。そこがまたいい。
「あっ……んんっ」
思わず声を漏らしてしまった瑞樹が、慌てて自分の口を塞いだ。
「ここ……あれからしてない?」
「あっ……うっ……はい」
「じゃあ溜まっているだろう。出すか」
そう問うと、頬を染めた瑞樹はかなり躊躇いがちにコクンと小さく頷いた。
「あっあの……宗吾さんも……今日は一緒に」
「え……もしかして瑞樹がしてくれるのか」
「そのつもりです」
瑞樹の手が、おずおずと俺の股間に躊躇いがちに伸びて来た。
ほっ本当に触れてくれるのか。初めて積極的に瑞樹の方から触れてもらえ、いよいよ興奮がMAXだ。
気が付けば互いに床に座って向かい合い、互いのものを無心で扱いていた。
窓の外の雪灯りのみが頼りの暗い部屋なので、触れあっている部分はよく見えないが、その分、指先で敏感に感じることが出来ていた。
「ん……指が……やっぱり悔しいな。僕だって……ちゃんと、宗吾さんを全部感じたいのに」
瑞樹は指の動きが思い通りにいかないのと感覚がないのが、やはりもどかしそうだったが、諦めずにその細くて長い綺麗な指先で、キュッと優しく俺のものを掴んでくれた。ひんやりとした彼の指先を敏感な部分に感じ、それだけで深くにもイキそうになる。
「瑞樹……気持ちいいよ」
「よかったです」
「じゃあ一緒に出そう」
もう一度唇をチュッと合わせる。
互いに何度も何度も角度を変えながら啄み合う。
手で擦り合い、口で接吻を深めれば、あっという間に俺のものもガチガチに硬くなり上を向いてしまった。瑞樹の股間のモノも……俺の手ですっぽり包める小ぶりなものだったが、綺麗な形にそそり勃った。
「エロいなぁ、瑞樹のここ」
「あっ……そんなにじっくり辿らないでください。ああっ、もう」
「滑らかな手触りだよ。やっぱりここ……綺麗なんだな」
「宗吾さん……お願い……だ、そんなことばかり言わないで下さい」
瑞樹も必死に俺の股間に手を伸ばして、羽にそっと触るように指の腹や爪で優しく触ってくれた。これはフェザータッチだ。瑞樹の指先から生まれる極上の愛撫をダイレクトに受け、俺の下半身はブルっと震えてしまった。
くっ……かなりくるな。これは……まずいな。
そのまま無心に互いの高まりを探り合った。
キスをしながら、じっくりとねっとりと。
やがてふたりで迎える絶頂──
「はっ……うっ……ん。あっ……もう出るっ」
「うっ……」
窓の外に舞い降りる雪の音まで聴こえそうな静寂の中で、俺たちは互いの精を静かに放った。ほぼ同時だったのか、手の平に熱いものがピシャっと迸ったのを感じた。
「はぁはぁ……」
瑞樹は肩で息をしていた。俺は手のひらを広げて白濁のものを彼に見せた。
「やっぱり沢山出たな。これこそまさにホワイトクリスマスだな」
つい口から出たのは、まさかのオヤジギャグ?
(おいおい、あーこんなんじゃムードが台無しじゃないか)
俺も年取ったよなぁと嘆きたくなる。
「宗吾さんって……」
瑞樹が呆れ顔でポカンと俺を見つめ、そのあととても楽しそうに肩を揺らして笑ってくれた。
「くくっ、それじゃ台無しですよ。でも僕……結構そういうの好きになってしまいました」
どこまで寛大で優しい瑞樹。
それにしても、初めてだったな。お互いに求め合うの。
前回はあの男の痕跡を消してやりたくて必死だった。瑞樹の放ったものは、苦渋の味そのものだった。
だが今日は……きっと!
舐めようと舌を出した所で、瑞樹に思いっきり手で突き飛ばされ、制止された。
「だっ駄目ですって!」
「なんで? 」
「なんでって……そろそろ……兄さんが起きるから、早くこの痕跡を消さないと」
「ぷっ、なら猶更だろう」
瑞樹の手をすり抜け、ぺろりと手のひらを舐めると、瑞樹は途端に泣きそうな顔をした。
もうあんな苦しい味はしない。
「あ……そんな、僕……恥ずかしくて……もう倒れそうです」
瑞樹は蚊の鳴くような声で、脱力し俺にもたれてきた。だから抱きしめてやった。
「俺たちは恋人同士だろう? だから、こんなことしてもいいよな」
「うっ……」
この先……君とは笑い合って恥ずかしがって、いこうじゃないか。
どんどん近づいている瑞樹との距離を、俺は存分に楽しんでいる。
「瑞樹、メリークリスマス。何度でも言うよ。俺にプレゼントをありがとう」
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