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第26話

優紀は縛られていた左右の手首を擦りながら、ベッドの端に座っている。 相変わらず、俺の方を見ようとしない。 「…あの日に、兄貴と契約をしたんだろ…俺の代わりに…」 「べ、別に…眞司の為じゃないから…勘違いしないで」 ―優紀が俺に歯向かったのも初めてなら、こんな風に優紀とキチンと話すのも初めてだった。 以前は俺が一方的に命じて、優紀はそれに黙って頷き、従う。 それが当たり前だった。 少しでも気に入らない事があれば…いや、気に入らない事がなくても…イライラしているだけでも、優紀を殴り、蹴った。 そして優紀は抵抗せず、ただ蹲って俺に殴られ、蹴られ続けた。 俺の気が済むまで。 それが、今は俺に逆らい、普通に話をする。 その事を新鮮に思う反面、優紀が俺を以前みたいに想っていない証に思えて…。 …複雑な心境だ。

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