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~エピローグ~
―その日。
まだ、日が登りきらない内に。
和巳が寝入っている姿をこっそりと確認した後。
俺は優紀を連れて、部屋を抜け出した。
…和巳にバレたら、止められる…。
だから、俺は今夜の内に、和巳に黙って優紀を連れて出ていく事にしたのだ。
今、優紀は両手、両足を縛られ、口をガムテープで塞がれた状態で、俺の腕の中にいる。
その眼は、俺を睨んでいるが、構わない。
(俺をそうやって睨んでいるのも、今の内さ…以前のように俺だけを見ていた優紀を取り戻すんだ…必ず)
―その日、俺は和巳の部屋から優紀を連れて姿を消した。
優紀を兄貴から取り戻す為に。
怖がってばかりじゃいられない。
逃げてばかりじゃ、優紀は完全に取り戻す事はできない事に気付いた。
(兄貴から優紀を取り戻す)
絶対に。
-今度こそ、間違わない。
《最終章へ………》
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