1 / 1

第1話

僕には血の繋がらない大好きなお兄ちゃんがいる お兄ちゃんは桜堂学園の理事長だ 桜堂 咲夜 (おうどう さくや) 28歳独身 すらりとした長身の美形である そして僕の血の繋がらない兄なのだ 何故血が繋がっていないかと言うと僕がまだ4歳のとき本当の両親が亡くなった しかし両親は親族の反対を押し切って結婚したので誰も僕を引き取ろうとしてくれなかった そのとき今のお父様とお母様に僕を養子にしてほしいと頼んでくれたのが咲夜お兄ちゃんだ 何でも僕の血縁の父と同じ生徒会の役員だったお父様はお葬式に息子の咲夜お兄ちゃんを連れて来ていたそうで そこで誰が僕を引き取るか揉めていたのを咲夜お兄ちゃんが聞いてその場所から連れ出してくれたのだ お父様もお母様も僕のことを本当の息子の様に可愛がってくれた お母様は「要(一番上の兄)も咲夜も小さい頃から可愛げがなかったから。瑠璃(僕の名前)は可愛い。」なんて笑っていた 要お兄ちゃんは僕が養子になったときには結婚していて子供もいたしすでに家にはいなかったのであんまり会わなかったけど たまに会ったときは頭を撫でてくれて、美味しいお菓子をくれる それでもやっぱり僕は咲夜お兄ちゃんが一番大好きなのだ 咲夜お兄ちゃんは優しい 恋人が出来てもクリスマスやお正月もイベント事のときは仕事で忙しい両親がいないから僕が寂しくないようにと一緒にいてくれる そのせいで咲夜お兄ちゃんの彼女が家に来たときに僕を叩こうとして咲夜お兄ちゃんがすごく怒って別れてしまったこともあったくらいだ というかそれ以降誰かと付き合っている様子はない 僕が我儘をいうとなんでも叶えてくれるし、甘やかしてくれる だが最近咲夜お兄ちゃんはあまり僕を構ってくれなくなった 何故かというと要お兄ちゃんの息子、つまり僕の義理の甥っ子の兎座 万理がこの学園に入ってきて問題ばかり起こしているからだ 万理のことは存在は知っていたが実際に会ったことはなかった 奥さんと別居していたが要お兄ちゃんは他の家に婿入りしていたので親戚関係の集まりにも来ていなかったし 万理は母親と海外に住んでいたので会うこともなかった でも高校に入ってはじめての定期テストが終わったころ万理の母親が咲夜お兄ちゃんに桜堂学園に万理を編入させてほしいと頼んで来たのだそうだ 問題を起こして前の学校を自主退学になり何とか揉み消したものの学力的にどこの高校も編入できず、親戚の家を頼ってきたのだ 入学して半年もたたずに退学になるほどのことをするなんてある意味すごい そんな子を編入させるなんて咲夜お兄ちゃんも最初は断ったらしいがあまりにも必死に頼まれ、要お兄ちゃんにも頼まれたので入学を許可したらしい しかし本当に問題児で入学したその日に 一匹狼として有名な七瀬くんを落とし(意識を) 生徒会長とキスをして(無理矢理) 副会長の作り笑顔を指摘した(副会長に嫌われた) 双子を見分け(見分けれてない、自信満々に答えたのに間違ってる。) その他にも親衛隊を毛嫌いしてセフレ扱いするなど とにかく人の話を聞かない その上嫌われたり失礼なことをして近づくのがすべて人気者の為親衛隊は大荒れ 親衛隊は万理に制裁、強姦など事件ばかり起こしているが万理は無駄に強いのでその矛先は万理が付きまっとっている平凡君に向かっている 確か天野優衣君 顔立ちは平凡だけど小柄で小動物みたいな可愛い子だったな そして咲夜お兄ちゃんは万理のやったことなどの処理に追われていて忙しそうだ これまでは2日に1回は理事長室でお茶していたけど今週はお茶どころか1回も会えていない 寂しい 会いたいよ でもすごく疲れてるのはわかってるし我儘はいえない もういっそ万理退学にならないかなー 天野君に怪我させたらしいし 「や…、やめてっ……。」 ん? 何か声がする? ちなみに僕は今廊下を歩いています この声は… 天野君だね 飽き教室からか 「いやっ、……」 「うるせえ!」 「さっさとヤっちゃおうよ。」 「こんな平凡にたつかなー?」 「仕方ねえだろもう金受け取っちまったし。」 強姦か… 風紀委員に連絡しよう ……連絡完了! しばらくどっかに隠れとこうかな 「だ…め、……あっ、ん……。いれな…い、でっ……。」 え、やばっ もうそんなとこまでいってるの うーん、 すぐに風紀がくるよね…… 時間稼ぎした方がいいかな…   よし! ガラッ 「何してるんですか!止めてください!」 ドアを開けて叫んでみると 後ろ手に縛られ、服は破られ、涙目の天野君と 目付きの悪い不良とチャラい不良、狐目の不良たちがいた 「えー、瑠璃姫じゃん。」 僕には親衛隊があり、何故か瑠璃姫と呼ばれている 「…………。」 「俺、どうせやるんなら瑠璃姫の方がいいなー。」 「だめっ…!、にげ…て。」 自分はやられそうなのにそんな風に叫んだ天野君は ぱんっと不良に頬を叩かれた 僕は不良に腕を捕まれ、部屋に引きずり込まれてしまった 「ねぇ、いっそ3人で瑠璃姫ヤってからその平凡にしない?」 う、なんか嫌な方向で話がまとまってる… 「確かにその方がいいね。」 「ちっ、しかたねえな。さっさとやるぞ。」 そして非力な僕はあっさり床に押し倒された 精一杯抵抗するも片手で押さえられる ……風紀委員来るの遅い ヤバいかも? じたばたしていると簡単にボタンを外し、ズボンも脱がされた 「いやっ…、触らないで………」 そして不良たちは 一人は後ろから首筋をを 一人は前から乳首を もう一人は下半身を さわってきた 嫌だ、気持ち悪い さわられていると嫌だと、拒絶しているはずなのに体は反応してくる 「や、めて…、んっ……ぁ。」 男同士だからかいいところを的確に触ってくる 怖い、咲夜お兄ちゃん… 助けてっ…… 「たす……け、て、おにい…ちゃ…ん…、あっ…」 バンッ もうだめかと思ったその瞬間バタバタと走る音がして扉が開いた そこには風紀委員長と風紀委員たちがたっていた 「やばっ、逃げよう」 「あぁ、」 不良たちは風紀委員がくると逃げようとしたがあの風紀委員長が逃がす訳がない 長い足で蹴飛ばし気絶させた 「大丈夫か?」 風紀委員長がそう聞いてくるが僕は助かった安堵で涙がとまらない 「大丈夫です、ふたりとも最後まではされてないです。」 と答えている天野君の言葉に頷くことしかできない 怖かった…。前から性的な目で見られるのはなれている。 でも親衛隊が守ってくれていてあんな風に襲われたことはなかったのだ 「それなら取り敢えず場所を変えるか。」 風紀委員長はそう言って床にぺたんと座り込んでいた僕を抱き抱えた 風紀室に入って副委員長に暖かい紅茶をいれてもらい 飲んでしばらくすると落ち着いてきた 「落ち着いてきたなら事情聴取をしてもいいか?」 と聴いてきたのでコクンと頷いた 「何で桜堂まで襲われていたんだ?電話してきたのはお前だろう。」 「挿れるとか、そんなことを話しているのが聞こえてきたので危ないと思って、それに風紀委員がすぐ来るだろうと思って助けに入りました。」 でも僕は何もできなかったな 一緒に襲われちゃっただけだし 僕がうつむいていると 「瑠璃姫が助けに入ってくれて助かりました。ありがとうございます。」 天野君はそう言ってくれた 「僕はなにもできなかったよ。それにね、万理は一応僕の甥っ子だから、逆にこっちこそ迷惑かけてごめんね。」 そういって謝ると 「「は?」」 とふたりともあんぐりと口を開き驚いている あ、そういえば僕が理事長の弟だって知らないのか… 「僕は桜堂家の養子で末っ子なんですよ。だから理事長の弟で、万理のお父さんの弟なんです。」 「そうだったのか……。だったら理事長にいってあいつを停学にできないか?生徒に怪我をさせた件で停学にしようとして証拠書類をだしたんだが全然通らないんだ。」 え?それはおかしい 咲夜お兄ちゃんのところに来ていれば間違いなく通すだろう あまり万理のこと好きじゃないみたいだし、停学として閉じ込めているあいだに色々片付けられるから 何でだろう? 僕が考えているとドアがコンコンとノックされ、すぐにガチャッと扉が開く 「私…。理事長の桜堂だ。失礼する。」 返事も聞かずに入ってきたのは咲夜お兄ちゃんだった 「咲哉お兄ちゃんっ!」 久しぶりにあう咲夜お兄ちゃんはほんの少し寝不足のようだ 咲夜お兄ちゃんは風紀室に入ると僕の方へ近づいてきてぎゅーっと抱き締めてくれた しばらく抱き合って僕はすりすりと頬擦りしていた 「どうしてここにいるの?咲夜お兄ちゃん。」 「千藤(風紀委員会の顧問の先生で咲夜お兄ちゃんの高校の同級生)から瑠璃が襲われたって連絡があったんだ。無事でよかった。」 「心配かけてごめんね。」 いそがしいのに急いで来てくれたことがうれしい 「風紀委員長も弟がお世話になったね。助けてくれてありがとう。」 「いえ、風紀委員ですから。」 あ、咲夜お兄ちゃんが来るまで考えごとしてたんだった 思い出した僕は咲夜お兄ちゃんに聞いてみた 「咲夜お兄ちゃん、風紀委員長さんがね万理を停学にできないかっていってるんだけど…。なんか証拠をまとめた書類を出したのに通らないっていってたよ?」 そういうと咲夜お兄ちゃんは不思議そうな顔をした 「そんな書類届いてないけど?届いてたらとっくに停学どころか退学にしてるよ?」 咲夜お兄ちゃんの言葉をきいて風紀委員長は首をかしげた 「一週間前には提出しましたが?天野くんがクラスメイトの美形の子と日直の仕事をしていたら訳のわからないことを喚いて突き飛ばし、天野くんが背中などを打って打撲と足首をひねって捻挫したので暴行事件として停学要求の書類をだしました。」 「おかしいな、そんなのきてないんだけど。」 「てっきり理事長が甥っ子のために止めているのかと思っていました。」 「そんなわけないだろう。かわいくもなんともない甥っ子だし。むしろ瑠璃にまで危害が加えられたらと思うと同じ学校においておきたくないくらいだよ。」 咲夜お兄ちゃんはそういって僕をなでてくれた 久しぶりに会うのでもっとひっついて甘えたいが風紀委員長たちがいるから我慢しないと! さっきまではすごく怖かったけど咲夜お兄ちゃんがいるからもう平気だ 「じゃあ、なんで理事長のところに書類が行ってないんでしょうか?」 「うーん。どこに書類だしたの?」 「学園長に提出したはずですが。」 学園長…… あの咲夜お兄ちゃんにぺこぺこしてたおじさんか 「それならおそらく学園長が止めたんだろうね。多分彼が余計な気をまわしたんだろう。もう一度その書類もらえるかな?退学にしよう。」 「パソコンにデータを残しているのですぐに印刷できます。ですが一度だけのことで退学にできますか?」 「できるよ。義理の姉からは前の学校で少し喧嘩して自主退学という形になったと聞いていたけどそれだけじゃなくて不良グループに入っていて何度か喧嘩相手を病院送りにしていたらしい。話が違うし、ほかの生徒を守るためという理由にすればすぐに退学にできるだろう。ただこっちの学校でそういった事件を起こしてなかったからどうしようもなかったんだ。これでやっと追い出せるよ。じゃあ、悪いけどよろしく。」 「はい。分かりました。」 この後の咲夜お兄ちゃんと風紀委員長さんたちの行動は早かった 次の日には万理の母親を呼び出し退学になると言うと あの親にしてこの子ありというかそっくりな声で喚いてうちの子は悪くないといっていたらしい あれだけはっきりと証拠があるのによくそんなことを言えるものだと逆に関心してしまった 幸い母親では話にならないと要お兄ちゃんをよびだしたそうで、要お兄ちゃんはあっさりと退学に許可を出したらしい 万理は結局今回の件が噂になりどこも行ける学校がなく仕方ないので前にいた国に母親と戻り暮らすらしい 四日後くらいには学校に平和が戻った 親衛隊もおちついて、天野君に悪かったと思ったらしくそれぞれの親衛隊の隊長さんたちが謝りにきたそうだ そして僕は襲われた日から咲夜お兄ちゃんにあっていなかったりする 会いたかったけど退学の手続きとか天野君や被害者の子たちへの対応などすることがいっぱいあり時間が取れなかったようだ 夜に僕の部屋に来ていたようでテーブルの上に僕の好きなお菓子とメモが添えて置いてあった 会いたいと思って夜の一時くらいまで起きていたのだけどこなかったのでもっと遅くに会いに来ているようだ 普段は十時には寝ているのでそれ以上待っているのは睡魔に負けて無理だった でも明日は時間が取れるそうなので久しぶりに会う予定だ その次の日の日曜日には話をきいたお母様やお父様も心配しているそうなので咲夜お兄ちゃんとお家に帰省する予定だ また来週からは今まで通りの日常が遅れそうである

ともだちにシェアしよう!