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Ⅰ 強制結婚!!⑧
あっ……
チュプリ
卑猥な水音が響く。
「やっ」
「嫌じゃない」
異物が侵入する。
「お前は私のΩだろう」
俺は……
「私のΩなのだから、触れてはいけない場所はない筈だ」
蕾の入り口を撫でられた。
「指っ」
「ここも私の物だ」
「アフ」
少し入ってる。蕾の入り口を中から撫でている。
「愛でているんだよ」
閉じられないように、脚を持ち上げて。
「私の子種を受け入れる大事なオスマンコだ」
俺は、子供を産むために。
この人と。
Ωは種を殖やすための道具だ。
道具に気持ちは必要ない。
「考え事か?余裕だな」
「ふあァア!」
出ていったと思ったら、指がハフゥ~
予期せぬ動きに切ない吐息が漏れてしまった。
感じてるんじゃない。
感じたくない。
心臓の音がバクバク胸を締めつける。
「ヒぅ」
入り口で円を小さく描いただけの指に。
ほんの少しだけ入った指に翻弄されている。
この人の物にならなくちゃ……
婚姻通知書には逆らえないんだ。
彼が子供を望むなら、産まなくてはならない。
「好きにならなくてもいい。だが子種は入れるぞ」
「うん……」
俺が望んだ事だ。
ひどく抱いて………って。
この人は望みを叶えてくれた。
ただ、それだけの事……
俺は感謝こそすれ……
「………………へぇ」
まるで金属のように重い冷冽な声が沈む。
「まだ抵抗するのか?」
口づけに滲んだ血の味
(俺、噛んだの)
闇に浮かぶ瞳はまるで深海のようだ。
「傷つけるな、と言ったのに」
じんじん熱い。
この痛みはなんなんだろう。
俺……無意識に自分の唇を噛んでいた。
この人を傷つけたんじゃなくて良かった。……って、安堵の息をつく。
(どうして?)
なんで、ほっとしたんだ。俺?
愛のない結婚なのに。
胸が痛いよ………
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