その日から、行動範囲は大幅に広がった。 　ゼフィールに縋って外へ出向き、様々な服や装飾品を強請るようになった。 　ウェリーの目的はただひとつ。 　ゼフィールの素敵な花嫁探しだ。 　けれども彼の、『人食いゼフィール』としての黒い噂が邪魔をして花嫁探しどころではない。 　噂はあくまで噂にすぎない。ゼフィールは誰よりも紳士で、誰よりも心優しい慈悲深い男性だと知ってもらうことにあった。 　案の定、外出したウェリーの世話を、ゼフィールはあれこれ焼いてくれる。 　おかげでウェリーの働きは順調だった。中には黒い噂を疑いはじめる貴族たちも出てきている。 　最近になると、ウェリーがいつものようにドレスローブを選んでいる間にゼフィールの周囲は婦人が囲んでいる始末だ。 　当然だ、だって彼はとても美しい。