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第27話

リビングへと戻るとご飯が用意されていて、オレはまたもやボーッとしながらご飯を食べ終え、洗い物を済ませて部屋へと戻っていく。 そうして部屋に入って、ベッドに放り投げてあったスマホを手に取ると。明日、駅西のスポーツショップに行きたいから付き合ってほしいと、弘樹からLINEがきていた。 オレは一人でスポーツショップになんて行くことがないから、ちょっと楽しみになる。弘樹みたいに見るからに、サッカーやってますって人と一緒なら入りやすいかもしれない。 そんなことを思っていたら、手に持っていたスマホが震えて。びっくりしてディスプレイを覗いたオレは、更に驚き固まった。 その通知は白石さんから送られた、初めてのLINEだったから。 桜の写真とオレの顔写真を送ってくれって、それに拒否権はねぇーぞって……どれだけ念を押されてるの、オレ。 拒否権はないから、やらなきゃいけないことは分かっているけれど。桜はともかく、自撮りなんてしたことがないオレは、返信に困ってしまって。 とりあえず、オレは桜の写真と卒業アルバムのオレの顔写真を撮って、白石さんへ送り返したんだ。 「たっだいまぁー」 そうこうしていたオレの耳に届いたのは、大好きな兄ちゃんの声で。オレがスマホを握りしめてリビングへ逆戻りすると、少しだけ頬を赤く染めた兄ちゃんからオレは紙袋を手渡された。 「これ、星へのお土産。一緒に飲んでた友達がね、早く星にシュークリーム届けてやりなって言ってくれたの。星がまだ起きてて良かった」 「ありがとう、兄ちゃん」 写真のことで、四苦八苦していたオレの心を意図も簡単に和ませてくれた兄ちゃんは天才だと思うけれど。 手渡された紙袋を開け、早速シュークリームを食べながら幸せを感じていたオレを、現実に引き戻したのは白石さんからのLINEだった。 桜の写真は明るいときでいいけど、顔写真は自撮りでよろしくってことで、やり直し……って、ウソ。 オレは、白石さんの指示通りにちゃんと送ったのに。最悪だって心の中で叫びつつ、頭を抱えたオレは、急いでシュークリームを食べ終えると仕方なく自撮りをするため自室へとんぼ帰りした。 兄ちゃんはよく自撮りしてるけれど、自撮りの仕方なんて恥ずかしくて兄ちゃんには聞けないから。オレは兄ちゃんがやっているように、ちょっと斜め上を見て写真を撮ってみる。 カシャッとシャッター音が鳴るだけで恥ずかしくて、そのあとに自分の顔を確認しなきゃならないことに恥を感じて。 こんな写真を欲しがって、白石さんは何がしたいんだろうって。せめてもの抵抗で、画像と一緒にオレは悪趣味だとひと言付け加えて白石さんにLINEを送った。 けれど、すぐ既読になったのになかなか返事が返ってこなくて。やっぱり、自撮りなんて気味悪かったのかなとか、悪趣味だって言っちゃったことに怒ってしまったのかなとか。 オレは色々考えて不安になったけれど、でも白石さんの指示には従わなきゃいけないから。桜の写真は明日の朝、学校へ行く前に時間があったら撮って送ろうと決めて。 明日も学校があるし、白石さんから返事もこないし……もう寝ようって、そう決めたあと、オレは本当に眠りに就いていた。

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