それぞれが、キラキラ輝く宝石。 その一つ一つを集めたみたいなお皿はまさに宝石箱で、美しいという表現がとてもよく似合うと思った。 「白石さんっ、すっごい美味しそうですっ！」 目で見て味わうことは、大切なんだって。 そう実感できる料理を前にして、オレのテンションが上がらないわけがないから。オレは興奮のあまり、白石さんの袖を掴んでしまうけれど。 「……俺のコト掴んでたら、お前いつまで経っても食えねぇーけど、いいのか？」 「あ、えっと……良くないです。あの、食べてもいいですか？」 「当たり前だ、そのために連れてきたんだから……ん、コレ使え」 白石さんは優しく笑って、オレにフォークを渡してくれたんだ。そんな白石さんにオレは深々と御礼を言うと、幼稚園の頃のように、色んなことに感謝しながら丁寧に両手を合わせていく。 「いただきますっ！」 そうは言ったものの、どの料理も美味しそうで……オレは、何から手をつけようか迷ってしまう。じーっと料理を見つめたあと、悩みに悩んだオレが最初に手をつけたのはサーモンのカルパッチョだった。 「美味しいっ、白石さん、白石さん、すっごく美味しいですっ！」 大事なことだからニ回言いました、と。 そんな言葉を付け足したくなるくらい、オレは白石さんに料理の美味しさを伝えたくてはしゃいでしまうけれど。 「だから、ランの料理は俺が作るメシより美味いって言ったろ？」 当然のことながら、オレが必死に伝えなくても白石さんはランさんの料理が美味しいことを知っていて。オレが白石さんの言葉にこくこくと頷くと、白石さんは安堵した様子でオレの頭を撫でてくれた。 ひとくち食べては美味しいと言って感激しているオレを、白石さんとランさんは優しく見守っていてくれて。サーモンのカルパッチョを食べたそのあとはパスタ、オムライス、ハンバーグとオレは食べ進めていく。 オムライスも、ハンバーグも、パスタも。 全てが本当に美味しくて、全部がミニサイズで、でも一つ一つはしっかりと料理として完成されていて。 ……オレは、感激で胸がいっぱいになったんだ。 けれども。 美味しさを噛みしめて、じっくり味わっても。 食すために作られた料理は、オレがどれだけ満足していようと平らげてしまったらその形はなくなってしまうから。 「ご馳走様でしたっ！」 精一杯の感謝の気持ちを込めてオレは両手を合わせ、そして小さく呟いた。 「ランさん、白石さん……こんなに素敵なひと皿に出逢えて、オレ、とっても幸せです。なんというか、ありがとうございました」 料理を作ってくれたランさんに、ここに連れてきてくれた白石さんに。オレは二人に頭を下げて、感謝の気持ちを伝えようとしたけれど。 「星ちゃん、気持ちは充分伝わってるから大丈夫よ。頭を上げてちょうだい、貴方に食べてもらって私も嬉しいわ」 「連れて来た甲斐があったな」 お礼を言ったオレよりも、ランさんと白石さんは嬉しそうに笑ってくれて。オレはそれがとても嬉しく、白石さんとランさんを見つめてにっこりと微笑んだ。