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第69話 人肌

「へえ~ここが真島くんの部屋なんだ」 男の部屋が初めてだという結衣ちゃんはあっちキョロキョロこっちキョロキョロ。 「うん。キタナイっしょ」 「う~うん」 「正直だな結衣ちゃん」 「でも、なんか落ち着くよ」 「そう~。ここ座れば」 オレはベッドに腰掛けて隣りをポンポンと叩く。 「うん」 「結衣ちゃんの部屋はキレイなの?」 「う~ん。それなりに」 「ふう~ん」 結衣ちゃんのドキドキが伝わってくる。 おもしれ~。 下にあいつらいるし、なんにもできないのに。 「あっ、この間一緒に買ったアザラシ」 ベッドの上に転がっていたアザラシの抱きぐるみ。 「結衣ちゃんだと思って毎日いっしょに寝てるよ」 「ホントに?」 「うん。こんな風に」 オレはぬいぐるみを抱きかかえてしっぽを足に挟んで寝転がった。 「ふふふ。しあわせね。この子は」 結衣ちゃんがぬいぐるみの頭を撫でる。 オレはぬいぐるみを放り投げた。 「え?」 そして結衣ちゃんの手をぐいっと引き、抱き寄せた。 「あ~。やっぱ本物のがいいわ」 「真島くん。恥ずかしいよ」 「恥ずかしい?いまさら?あんなことやこんなこともしてるのに?」 「もう~」 「あらら、恥ずかしいの?オレのゴマフちゃん」 「ん~」 結衣ちゃんがオレの胸に顔をこすりつけた。 ギュッとして結衣ちゃんの短くてやわらかい髪を撫でる。 女の子って抱き心地いい。 小さくて柔らかくて腕の中にすっぽりと収まる。 人のカラダ。 人肌とかって言うけど。 ホント、安心する。 ――ぶわっ。 瞬間、カラダに蘇った感触は……。 ゴツリとした骨の、筋肉の、重さの、脛に当たる毛の、そして抱きしめられる力強さ。 城島さんだった。 オレ……ヤバイ……勃つ……。 その時、ガチャリと音がしてドアが開いた。 「真島~そろそろ花火しようって……うわあ、何してんだオマエ」 佐藤だった。 「キャッ」 結衣ちゃんが声を上げた。 「何ってイチャイチャしてんの。ジャマすんなよ」 「みんな~真島と結衣ちゃんがエッチしてる~」 佐藤が階段を駆け下りていく音がする。

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