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第103話

眠っ……けどもうひと頑張り。 オレは最後の力を振り絞って室内の隅々まで掃除機をかけた。 終わった! はあ~疲れた~。 つうか眠っ。 掃除機抱えたまま床に倒れこんだら、階下から母の声がした。 「(まこと)~あたしパート行くわよ~」 「いってらっしゃ~い」 大きな声で返事する。 玄関にカギの掛かる音が聞こえて、オレは久しぶりに一人になった。 起き上がって、部屋を見渡した。 ベッド、テレビの載ったテレビ台、本棚、そして机。 家具の上やまわりに細々と置かれていたものがなくなり、すべてのものが収まるところに収まっていた。 ギュウギュウに詰まっていて開けにくかったクローゼットの中もスッキリ。 「ときめかないものはこの世の敵ですわ♥」 オレの心の中の断捨離乙女が、ときめきチェッカーに反応しないものをあぶりだし、大ナタ、いやときめきチェーンソーをバッサバッサと振リ回し、結果こうなった。 いやあ~捨てれば捨てられるもんだなあ。 っていうかすでに何がそんなにそこにあったのかすら思い出せなかったりする。 まあ、そのうち、あれがないこれがないって出てきそうな気もするけど……。 なんか……スッキリした!……な、うん。 ん~。 さて、これからどうしよう。 まあ夏休みの課題はやらなきゃな。 バイトのシフトも何日か残ってるし。 夏休みは残り一週間。 この夏で、部屋だけじゃなくて灰谷への気持ちにも整理をつけようと思っていた。 ……つくものなら。 でも……。 灰谷が明日美ちゃんと別れたと聞いて心が揺れ始めた。 また、灰谷と二人。 元に戻ったってことになるのかな? いや、ダメだ。 夏の前にオレの心が戻れなくなっている。 大事なものをいったん捨てる……か。 城島さんの言葉をまた思い出す。 大事なもの……。 例えば今までのオレと灰谷の関係を捨てる? 捨てるったってどうすれば。 つうか昨日だって灰谷が隣りの部屋にいるのに我慢できずにあんなこと。 うああ~。 オレは居たたまれなくなり、床をゴロゴロ転げ回った。 ♪~ スマホのメッセージの通知音が鳴った。 誰だ? 『真島くん、君の幸せを心から願っている。 また、いつかどこかで。 その時は二人、笑い合えたらいいなと思ってる。』 城島さんからだった。 胸がふわんと暖かくなった。 城島さん。 ヒドイ別れ方になってしまったけど。 城島さんには感謝してもしきれなかった。 今度会えたら言いたい。 したくない事、させちゃってごめんなさい。 オレの事、大事にしてくれてありがとう。 オレも……。 オレは……。 ♪~ ん?また城島さん? 追伸……。 城島さんのくれたメッセージを読みながら、オレにある考えが浮かんだ。
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