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1.登場人物・ストーリー
【登場人物】
◎鈴木…高校一年。特に地味でも派手でもない、所謂『どこにでも居そうな』平凡男子高生。お人好し気質で流されやすい。
◎財前…鈴木のクラスメイト。出席番号が前後なので、教室での座席も前後。鈴木を最高に可愛いと思っていて、妄想が独り歩きしている変わり者。ルックスは良い。
【ストーリー】
≪起≫
ある日の昼休み、クラスメイトの財前から屋上に呼び出される鈴木。
そこで突然、財前から一方的な告白を受ける。
鈴木には全くその気はないが、財前は何故か鈴木が自分に惚れていると思い込んでおり、更にその想いを受け入れたいと申し出てくる。
当然ドン引きする鈴木だが、余りにもマイペースで強引な財前に押し切られる形で、一先ず『友人』として映画を観に行く約束をする。
≪承≫
約束の日曜日。
昼過ぎの待ち合わせに始発でやって来ていた財前は、呆れる鈴木を余所に映画館でも妄想が大暴走。人目を憚らない下ネタで、注目を浴びる羽目に。
財前の妄想劇に振り回され、映画を観る前から疲弊する鈴木。一方で至極楽しそうな財前に呆れ返る。
≪転≫
映画鑑賞以降、財前は何かにつけて鈴木に付き纏ってくるようになる。
ある日の下校時。
教室を出たときから財前が後ろに居ることに気付いていながら、敢えて無視して下校しようとした鈴木。
しかし外は予想外の大雨。傘を持っていない鈴木は、あえなく財前に捕まってしまう。
相変わらずマイペースな財前に振り回されるのはもう懲り懲りだと、鈴木は何とか振り切って帰ろうとする。
そこへ、通りすがりに財前を中傷する生徒の声。
人目を気にせず鈴木への想いをぶつける財前を嘲笑する声に、鈴木は何故か腹立たしさを感じる。
≪結≫
結局財前の傘に入れてもらって下校する二人。
鈴木は、ずっと嬉しそうな財前に、なぜ中傷されて笑っていられるのか問う。
「鈴木に言われたわけじゃないから」と、何でもないことのように笑う財前。
映画館でも、まるで落ち着きのない犬みたいに浮かれていた財前を思い出す鈴木。
嬉しいという感情を、躊躇いもなく表現できる財前のことを、鈴木は少し羨ましく思う。
悪意のない変わり者の財前に、振り回されながらも惹かれ始めている自分を、鈴木は自覚するのだった。
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